スポーツの前に、毎回ストレッチをしている選手は多いと思います。ただし、ケガの予防を考えると、筋肉を伸ばすだけでなく、身体を動かしながら準備することも大切です。
今回は、小中高生のスポーツ選手や保護者、指導者に向けて、研究結果と実践のポイントを整理します。
ストレッチだけでケガを防げる?
「ストレッチをしていればケガをしない」とは言えません。 スポーツのケガには、競技の特性、練習量、過去のケガ、疲労、筋力や動作など複数の要因が関係します。
一方、走る・バランスを取る・着地する・方向を変えるといった動作を組み合わせた「神経筋トレーニング型のウォームアップ」は、特にサッカーなどの集団競技で、外傷の発生を減らす可能性が報告されています。

研究では何が分かっている?
2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、子どものサッカー選手を対象とした「FIFA 11+ Kids」について、通常のウォームアップと比べて全体のケガのリスクが低い結果が報告されました(リスク比0.52、95%信頼区間0.44~0.62)。ただし、この数字をすべてのスポーツや個人にそのまま当てはめることはできません。
また、2026年の若年サッカー選手を対象としたレビューでは、足関節のケガの減少を示す研究がある一方、下肢全体や膝のケガに対する結果には不確実性も残ると報告されています。
つまり、複数の要素を組み合わせた準備運動には期待できる根拠がありますが、「これをすれば絶対にケガをしない」という方法はありません。
ウォームアップに取り入れたい3つの要素
1. 身体を温めながら動く
軽いジョギング、もも上げ、横移動などから始めます。最初から全力で走るのではなく、徐々に動く速さを上げましょう。
2. バランスと片脚支持
片脚立ちなどで姿勢を安定させる練習をします。足元が不安定な場合は壁や手すりの近くで行い、転倒を防ぎましょう。
3. 着地と方向転換の動作
軽い両脚ジャンプから着地する練習を行い、膝や股関節を使って衝撃を受け止めます。着地時に大きくバランスを崩さないことを意識し、慣れてから動きを複雑にします。

どのくらい行えばいい?
実践の出発点として、練習や試合の前に10~15分程度、軽い移動運動からバランス、着地・方向転換へと段階的に進める方法があります。これは取り入れやすい一例であり、すべての年齢・競技で最適と証明された時間ではありません。
競技や年齢に合わせて難易度を調整し、継続して実施することが重要です。特に成長期の選手は、疲労や練習量にも配慮してください。
痛みがある場合の注意点
すでに足首や膝に痛み・腫れがある場合、ジャンプや方向転換を無理に行わないでください。体重をかけられない、明らかな腫れ・変形がある、関節が不安定、しびれがある場合は、運動を中止して医療機関で評価を受けてください。
繰り返す捻挫や肉離れでは、ウォームアップだけでなく、現在の機能評価や段階的な競技復帰の計画が必要です。
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まとめ
スポーツ前の準備は「筋肉を伸ばすだけ」ではなく、動く・支える・着地するといった要素を組み合わせることがポイントです。ウォームアップはケガのリスクを減らすための一つの手段ですが、十分な休養、適切な練習量、痛みがあるときの評価も欠かせません。
池上7丁目整骨院では、スポーツ外傷の評価からリハビリ、競技復帰まで、状態に合わせて対応しています。
参考文献
- Effects of the “FIFA11+ Kids” Program on Injury Prevention in Children: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2022. PMID: 36231344.
- Preventive efficiency of neuromuscular training in reducing lower limb injuries among youth soccer athletes: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. 2026. PMID: 42483571.
- Best practices for the dissemination and implementation of neuromuscular training injury prevention warm-ups in youth team sport: a systematic review. Br J Sports Med. 2024. PMID: 38684329.
- International Olympic Committee consensus statement on youth athletic development. Br J Sports Med. 2015. PMID: 26084524.







