「膝を曲げると裏側が痛い」
「しゃがむと膝の裏が詰まる感じがする」
「膝の裏が腫れている気がする」
このような症状はありませんか?
膝の痛みというと、膝のお皿の周囲や内側をイメージする方も多いと思います。しかし、膝の裏側にも筋肉や腱、血管、神経などさまざまな組織があります。
膝の裏が痛いからといって、原因が一つに決まるわけではありません。
今回は、膝裏の痛みで考えられる原因と、確認しておきたいポイントを解説します。
膝の裏には何がある?
膝の裏側は「膝窩(しっか)」と呼ばれる部分です。
この周囲には、太ももの裏側にあるハムストリングスの腱、ふくらはぎの腓腹筋、膝窩筋などが位置しています。
また、膝関節の内部には半月板などがあり、膝の裏側には血管や神経も通っています。
そのため、痛みの場所だけで原因を判断することは難しく、どのような動作で痛むのか、腫れがあるか、どのように症状が始まったのかを確認することが大切です。
① ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)
膝の裏に膨らみや張りを感じる場合、ベーカー嚢腫が関係していることがあります。
ベーカー嚢腫とは、膝関節内の滑液が膝の裏側にたまり、袋状に膨らんだ状態です。
成人では、変形性膝関節症や半月板損傷など、膝関節内部の問題に伴って生じることがあります。
膝の痛みページ
症状としては、
- 膝の裏の膨らみ
- 膝を曲げ伸ばしするときの張り
- 膝の裏の違和感や痛み
- 膝を深く曲げにくい
などがみられる場合があります。
ただし、ベーカー嚢腫があっても痛みを感じない方もいます。
膝の裏に膨らみがあるからといって、必ずベーカー嚢腫とは限りません。
また、ベーカー嚢腫が破裂すると、ふくらはぎに痛みや腫れが広がることがあり、血栓による症状と区別する必要があります。
② 筋肉や腱が関係する痛み
膝の裏には、ハムストリングスや腓腹筋などの筋肉・腱が関係しています。
例えば、ダッシュやジャンプ、急な方向転換などをきっかけに、筋肉や腱に負荷がかかることがあります。
運動中に突然痛みが出た場合には、筋肉や腱の損傷なども考慮する必要があります。
一方、徐々に痛みが出てきた場合には、運動量の変化や繰り返しの負荷などを確認することが大切です。
ただし、「動かすと痛いから筋肉の問題」とは限りません。
③ 半月板など膝関節内部の問題
膝関節の中にある半月板などの問題が、膝の裏側の痛みとして現れることもあります。
特に、膝をひねった後から痛む、深くしゃがむと痛い、引っかかり感がある、膝が腫れるといった場合には、関節内部の状態も確認する必要があります。
ただし、引っかかり感や痛みだけで半月板損傷と判断できるわけではありません。
受傷状況や身体所見を確認し、必要に応じて整形外科での画像検査などを検討します。
④ 注意したい血管の問題
膝の裏やふくらはぎの痛みでは、筋肉や関節だけでなく、血管の問題にも注意が必要です。
特に深部静脈血栓症(DVT)では、片脚の腫れ、痛み、熱感、皮膚の色の変化などがみられることがあります。
次のような場合には、自己判断でマッサージやストレッチをせず、速やかに医療機関を受診してください。
- 片脚だけ急に腫れた
- ふくらはぎまで強く痛む
- 脚に熱感や赤みがある
- 膝裏の腫れや痛みが急に強くなった
また、突然の息切れや胸痛、失神などを伴う場合は、救急対応が必要です。
血栓があっても典型的な症状が出ない場合があるため、症状だけで安全と判断することはできません。
膝の裏が痛いときは、どうすればいい?
まずは、痛みが出る動作を無理に繰り返さないことが大切です。
運動中に痛みが出た場合には、一度運動を中断し、腫れや歩行時の痛みなどを確認しましょう。
強い痛みや腫れがある状態で、無理に膝を深く曲げたり、膝の裏を強く揉んだりすることは避けてください。
原因によって対応方法は異なります。
筋肉や腱の問題であれば、状態に応じた運動負荷の調整が必要になることがあります。一方、関節内部の問題やベーカー嚢腫が疑われる場合には、背景にある膝関節の状態を確認することが重要です。
当院で確認していること
池上7丁目整骨院では、膝裏の痛みに対して、次のような点を確認します。
- 痛みが始まったきっかけ
- 痛む場所と腫れの有無
- 膝の曲げ伸ばし
- 歩行やしゃがむ動作
- 筋肉や腱に負荷をかけた際の症状
- スポーツや日常生活での負荷
必要に応じて超音波画像観察装置(エコー)を使用し、表在の筋肉・腱や液体の貯留などを確認するための補助として活用しています。
超音波画像観察ページ
ただし、エコーだけですべての原因を判断できるわけではありません。血栓や血管の異常が疑われる場合、または関節内部の詳しい検査が必要な場合には、医療機関への受診をご案内します。
まとめ
膝の裏の痛みには、ベーカー嚢腫、筋肉や腱、半月板など、さまざまな原因が考えられます。
大切なのは、痛みの場所だけで判断せず、腫れの有無、症状の始まり方、痛みが出る動作を確認することです。
特に、片脚の急な腫れやふくらはぎの強い痛みがある場合には、血管の問題も考慮し、医療機関での確認が必要です。
膝の痛みが続く場合は、無理に運動を続けず、状態に応じた対応を考えていきましょう。
参考文献
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. Baker’s Cyst (Popliteal Cyst). OrthoInfo.
- Charnock M, et al. Ultrasound for suspected Baker’s cyst: A test of limited clinical value? 2024.
- Comprehensive analysis of knee cysts: diagnosis and treatment. Knee Surgery & Related Research. 2025.
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. Deep Vein Thrombosis. OrthoInfo.