「物を持つと肘の外側が痛い…これってテニス肘?日常生活でも起こる外側の肘の痛み」

「テニスをしていないのに、テニス肘になるの?」

肘の外側に痛みがある方から、よく聞かれる疑問です。

テニス肘は一般的な呼び方で、医学的には「外側上顆炎」や、近年では腱の状態を考慮して「外側肘腱障害(lateral elbow tendinopathy)」などと呼ばれます。

名前に「テニス」と付いていますが、テニスをする人だけに起こるものではありません。

物を持つ、握る、手首を使うといった日常動作で、肘の外側に痛みを感じることがあります。2022年の臨床ガイドラインでも、外側肘腱障害では握る動作などによって症状が誘発されることが特徴として扱われています。

どんなときに痛みやすい?

例えば、

・ペットボトルやフライパンを持つ
・買い物袋を持つ
・タオルを絞る
・ドアノブを回す
・パソコン作業をする
・ラケットや道具を握る

などです。

肘が痛いのに「手首?」と思うかもしれません。

肘の外側には、手首や指を動かす筋肉につながる腱があります。そのため、手首を反らしたり物を握ったりする動作でも、この部分に負荷が加わります。

 

「使いすぎ」が原因なの?

ここは少し注意が必要です。

「パソコンを使いすぎたから」
「物を持ちすぎたから」

と、一つの動作だけを原因と決めつけることはできません。

仕事上の負荷について調べたシステマティックレビューでは、手首・前腕への複数の生体力学的負荷が組み合わさることと外側肘腱障害との関連を示す研究がある一方、エビデンスには限界があります。別のレビューでは、特に前腕の回旋や複合的な負荷との関連が示されています。

つまり、

「この動作をしたからテニス肘になった」

と単純には言えません。

仕事内容、スポーツ、負荷の強さや頻度、身体の状態などを合わせて考える必要があります。

痛いならずっと安静にした方がいい?

痛みが強い時期に、痛みを繰り返し誘発する動作をそのまま続けるのは適切とは限りません。

一方で、

「痛いから一切使わない」

という考え方も一律ではありません。

2022年の外側肘痛に関する臨床ガイドラインでは、抵抗運動などを含む段階的な運動療法が治療選択肢として推奨されています。

重要なのは、

負担をゼロにすることではなく、状態を確認しながら負荷を調整すること。

日常生活や仕事を完全に止めるのが難しい場合には、痛みが出やすい動作や負荷量を確認しながら調整していきます。

サポーターを付ければ治る?

肘のサポーターを使っている方もいます。

前腕に装着する装具について調べたシステマティックレビューでは、装着直後の痛みや痛みなく握れる力について一定の効果が示されていますが、エビデンスの確実性は低いとされています。

そのため、

「サポーターを付ければ治る」

というものではありません。

仕事やスポーツを続ける際の負荷調整の一つとして使用を検討することはありますが、それだけに頼らないことも大切です。

 

肘の外側が痛ければ全部テニス肘?

これも違います。

肘の外側に痛みが出る原因は一つではありません。

そのため、

「外側が痛い=テニス肘」

と自己判断するのではなく、痛みの場所、どの動作で痛むのか、関節の動き、筋力などを確認することが重要です。

症状が強い場合や長く続く場合、外傷後から痛みがある場合、しびれや明らかな筋力低下などを伴う場合には、医療機関への相談も検討してください。

テニスをしていなくても肘の外側は痛くなります

「テニス肘」という名前からスポーツ障害と思われがちですが、日常生活や仕事で肘の外側に痛みを感じる方もいます。

大切なのは、

痛いところだけを見るのではなく、「何をすると痛むのか」「どのくらいの負荷がかかっているのか」を確認することです。

必要に応じて負荷を調整しながら、段階的に身体を使える状態を目指していきます。

▶ テニス肘など「肘の痛み」について詳しくはこちら

参考文献は以下です。

  1. Lucado AM, et al. Lateral Elbow Pain and Muscle Function Impairments: Clinical Practice Guidelines. J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(12):CPG1-CPG111.
  2. Curti S, et al. Elbow tendinopathy and occupational biomechanical overload: A systematic review with best-evidence synthesis. J Occup Health. 2021;63:e12186.
  3. Kean CO, et al. Evaluating the immediate effect of forearm and wrist orthoses on pain and function in individuals with lateral elbow tendinopathy: A systematic review. Musculoskelet Sci Pract. 2020;47:102147.
  4. Campos MGM, et al. Effectiveness of non-invasive therapies on pain, maximum grip strength, disability, and quality of life for lateral elbow tendinopathy: A systematic review and meta-analysis. Braz J Phys Ther. 2024;28:100596.
2026年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院