靴ひも、普段から結んでいますか?緩いままスニーカーを履くとどうなる?

最近、子どもや学生の靴を見ていると、スポーツをするときにはしっかり靴ひもを結んでいても、普段履いているスニーカーでは靴ひもをかなり緩めたまま履いていることがあります。

靴ひもをほどかずに、そのまま足を入れたり脱いだりできるようにしている子も少なくありません。

「普段歩くだけだから問題ない」

と思うかもしれません。

しかし、靴ひもは単なる飾りではなく、足と靴をフィットさせるための重要な部分です。

靴ひもを緩めると、靴の中で足が動きやすくなる

靴ひもの締め方によって、靴の中での足の動きは変化します。

健康な成人を対象にした研究では、靴ひもを快適に締めた状態と比べて、靴ひもを緩めるほど、踵の浮きや靴の中で足が前後に動く感覚が増加しました。PubMed

つまり、同じ靴を履いていても、

靴ひもを適切に締めて履く場合と、緩めたまま履く場合では、足と靴のフィットは同じではありません。

「サイズの合った靴を買ったから大丈夫」とは限らないということです。

 

「脱ぎ履きしやすい状態」と「歩きやすい状態」は同じとは限らない

靴ひもを緩めておけば、毎回結ばなくても簡単に靴を脱ぎ履きできます。

特に子どもでは、

靴ひもを結んだまま脱ぐ
↓
次に履くときも、そのまま足を入れる
↓
徐々に靴ひもが緩い状態になる

ということがあります。

確かに脱ぎ履きは楽です。

しかし、簡単に足を入れられるくらい靴ひもを緩めた状態が、その子の足に適したフィットとは限りません。

歩いているときに踵が大きく浮いたり、靴の中で足が前後に動いたりする場合には、一度靴ひもの締め方を確認してみてもよいでしょう。

じゃあ、強く締めればいい?

ここも注意が必要です。

靴ひもは強く締めれば締めるほど良いわけではありません。

ランニング時の研究では、靴ひもの締め方や通し方によって足背部の圧力や安定感が変化することが報告されています。PubMed

強く締めすぎて、

「甲が痛い」
「圧迫される」
「しびれる感じがする」

のであれば、それも適切な状態とはいえません。

大切なのは、足を必要以上に締めつけず、それでいて靴の中で足が大きく動かない程度に調整することです。

靴ひもだけでサイズの合わない靴を補うことはできない

もう一つ重要なのが、靴そのもののサイズです。

子どもの靴については、適切なサイズの靴と比較して、小さすぎる靴では歩行時の足の動きが一部制限されたという研究があります。また、子どもの靴が実際の足のサイズに合っていないケースも報告されています。PubMed

そのため、

「靴が大きいから、靴ひもを強く締めればいい」

という考え方もおすすめできません。

足の長さだけではなく、幅や靴の形なども含めて、その足に靴が合っているかを見る必要があります。

スポーツのときだけではなく、普段履きも確認してみよう

スポーツをしている子の場合、競技用のシューズについては気をつけていても、普段履いているスニーカーはあまり気にしていないことがあります。

しかし、学校への行き帰りや外出など、普段の生活でも靴を履いて歩く時間があります。

だからといって、

「靴ひもを結ばないとケガをする」
「足の形が悪くなる」
「扁平足になる」

とまで言えるわけではありません。

現時点では、そこまで単純な因果関係を示す十分な研究はありません。

ただ、靴ひもの締め方によって靴内での足の動きやフィットが変化することは確認されています。PubMed

せっかく足に合った靴を選んでも、靴ひもを大きく緩めたままでは、本来想定されているフィットで履けていない可能性があります。

 

まずは普段履いている靴をチェック

お子さんの靴を一度見てみてください。

靴ひもがかなり緩んでいないか。

靴ひもをほどかなくても簡単に脱げる状態になっていないか。

歩いたときに踵が大きく浮いていないか。

靴の中で足が前後に動いていないか。

そして、靴そのもののサイズや形が足に合っているか。

靴選びというと「何cmの靴を買うか」に目が行きがちですが、買った靴をどのように履くかもフィットを考えるうえで大切です。

「インソールを選ぶ前に知っておきたい『靴との相性』」

毎回必要以上に強く締める必要はありません。

履いたときに足と靴が無理なくフィットするように、靴ひもを調整する習慣をつけてみましょう。

 

  1. Fiedler KE, et al. The effect of shoe lacing on plantar pressure distribution and in-shoe displacement of the foot in healthy participants. Gait Posture. 2011;33:396-400. PubMed
  2. Hagen M, Hennig EM. Effects of different shoe-lacing patterns on the biomechanics of running shoes. J Sports Sci. 2009. PubMed
  3. Hagen M, et al. Effects of different shoe-lacing patterns on dorsal pressure distribution during running and perceived comfort. Res Sports Med. 2010. PubMed
  4. Arnold JB, et al. Children’s school footwear: The impact of fit on foot function, comfort and jump performance in children aged 8 to 12 years. Gait Posture. 2021.
2026年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

膝に水がたまったら抜かない方がいい?「水を抜くとクセになる」は本当?

「膝に水がたまっていますね」

と言われた経験がある方もいるのではないでしょうか。

そんなときによく聞くのが、

「膝の水は抜かない方がいい」
「一度抜くとクセになって、またたまる」

という話です。

しかし、膝の水を抜いたこと自体が原因となって、その後水がたまりやすくなる、という考え方を支持する十分な根拠はありません。

では、なぜ水を抜いても、またたまることがあるのでしょうか。

そもそも「膝の水」って何?

一般に「膝に水がたまる」と呼ばれているものは、**膝関節内の関節液などが増えて、関節が腫れた状態(関節液貯留)**を指します。

関節液は、異常がない膝にも存在しています。

関節の動きを滑らかにしたり、関節軟骨への栄養供給などに関わっています。

つまり、

「関節液がある=異常」ではありません。

問題になるのは、炎症や外傷などさまざまな原因によって関節液が増え、膝が腫れている場合です。

原因としては、

  • 変形性膝関節症などの関節疾患
  • スポーツや転倒などによる外傷
  • 痛風・偽痛風などの結晶誘発性関節炎
  • 感染性関節炎
  • その他の炎症性疾患

などが考えられます。

したがって、「水がたまった」という状態だけで原因を決めることはできません。

 

なぜ抜いても、またたまることがあるの?

ここが今回のポイントです。

関節穿刺によって関節液を抜くことで、腫れや圧迫感、痛みなどが一時的に軽減することがあります。

急性の膝関節液貯留を対象としたランダム化比較試験では、関節穿刺を行った群で、特に早期に痛みや可動域などの一時的な改善がみられました。

しかし、その差は時間の経過とともに小さくなっています。

つまり、

「水を抜いた=水がたまった原因までなくなった」

とは限りません。

関節液が増える背景にある問題が続いていれば、再び関節液が増えることがあります。

そのため、

「水を抜いたからクセになった」

と考えるより、

「なぜ再び関節液が増えたのか」

を考えることが重要です。

水を抜くのは症状を楽にするためだけ?

それだけではありません。

関節穿刺には、診断のために関節液を採取して調べるという重要な役割もあります。

採取した関節液について、

  • 細菌の有無
  • 白血球数など
  • 結晶の有無
  • 血液が混ざっていないか

などを調べることで、感染性関節炎や痛風・偽痛風、外傷による関節内出血などを考えるための情報が得られます。

特に感染性関節炎が疑われる場合には、関節液の検査が重要になります。

ですから、

「膝の水は抜かない方が身体にいい」

と一律に考えるのも適切ではありません。

「抜く・抜かない」は、症状や原因、診断上の必要性などを考えて医師が判断します。

「たまっている量」だけで判断しない

膝が大きく腫れていると、

「どのくらい水がたまっているのか」

が気になると思います。

しかし、確認したいのは量だけではありません。

例えば、

いつから腫れたのか
転倒やスポーツなどの外傷があったか
急に腫れたのか
膝が赤くなっていないか
熱感がないか
強い痛みがないか
発熱などの全身症状がないか
膝を動かしにくくなっていないか

なども重要です。

膝の腫れにはさまざまな原因があるため、腫れているという見た目だけで原因を判断することはできません。

 

外傷のあとに膝が腫れた場合は?

スポーツや転倒などのあとに急に膝が腫れた場合も注意が必要です。

関節内にたまっているものが、単純に増えた関節液だけとは限りません。

外傷によって、**関節内出血(関節内に血液がたまる状態)**が生じることがあります。

靭帯損傷、半月板損傷、骨折など、関節内の組織が損傷したときにみられる場合があります。

さらに、関節穿刺で採取した血液に脂肪滴がみられる脂肪血症を伴う関節内出血は、関節内骨折を考える手がかりになることがあります。

そのため、外傷後に膝が急に大きく腫れた場合には、

「水がたまっただけ」

と自己判断せず、外傷の状況や症状に応じて医療機関での評価を検討することが大切です。

赤く腫れて熱を持っている場合は注意

特に注意したいものの一つが、感染性関節炎です。

膝が急に強く痛み、腫れや熱感・赤みがある場合には、感染性関節炎なども鑑別する必要があります。

発熱を伴うこともありますが、発熱がないことだけで感染性関節炎を否定することはできません。

また、診察時の症状だけで感染性関節炎を確実に除外・確定することもできません。

感染性関節炎が疑われる場合には、関節液の検査などを含めた医療機関での評価が必要です。

そのため、

強い痛み
急な腫れ
赤み
熱感
発熱
膝を大きく動かしにくい

などがみられる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

「水を抜くか」より「なぜたまったか」

膝に水がたまると、

「抜いた方がいい?」
「抜かない方がいい?」

という二択で考えがちです。

しかし、本当に重要なのは、

なぜ関節液が増えているのか

を考えることです。

関節穿刺は、症状を一時的に軽減する目的で行われることもあれば、関節液を調べて原因を考える目的で行われることもあります。

そして、関節液を抜いたあとに再び膝が腫れたとしても、

「水を抜いたからクセになった」とは限りません。

原因となっている問題が続いていれば、再び関節液が増えることがあります。

膝の腫れが繰り返す場合や、強い痛み、赤み・熱感、発熱、外傷後の急な腫れなどがある場合には、「水がたまっているか」だけではなく、その原因を確認することが大切です。

▶ 膝の痛みについて詳しくはこちら

参考文献

  1. Ravn C, et al. Guideline for management of septic arthritis in native joints (SANJO). J Bone Joint Infect. 2023;8:29-37.

  2. Paschos NK, et al. Effectiveness of aspiration in knee joint effusion management: a prospective randomized controlled study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2014;22:226-232.

  3. Gupte C, St Mart JP. The acute swollen knee: diagnosis and management. J R Soc Med. 2013;106:259-268.

2026年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

運動前のウォーミングアップ、ストレッチだけでいい?準備運動の考え方

運動やスポーツをする前に、

「とりあえずストレッチをしておこう」

という人は多いのではないでしょうか。

もちろん、ストレッチも準備の一つです。

しかし、ウォーミングアップ=ストレッチだけではありません。

これから行う運動に向けて、軽い運動から始め、身体を動かしながら徐々に運動強度や動作を近づけていくこともウォーミングアップの重要な要素です。

ウォーミングアップは何のためにする?

ウォーミングアップについて調べたシステマティックレビューでは、ストレッチ以外の活動を含むウォームアップを行った研究の多くで、その後の身体パフォーマンスに良い変化が報告されています。

ただし、すべての競技・すべての人に同じ方法が適しているという意味ではありません。PubMed

また、筋温の上昇について検討した近年のシステマティックレビュー・メタ解析では、筋温上昇は最大筋力そのものよりも、素早く力を発揮する能力などに有利に働く可能性が示されています。PubMed

そのため、

「何分やればOK」
「この種目をやればOK」

と一律に決めるのではなく、その日の運動内容に合わせて考えることが大切です。

 

ウォーミングアップ=ストレッチではありません

例えば、走ったり、ジャンプしたり、切り返したりするスポーツなら、

① 軽く身体を動かす
↓
② 関節を動かしながら動作範囲を確認する
↓
③ 動的な運動を取り入れる
↓
④ これから行う競技に近い動きを徐々に行う

というように、段階的に準備していく方法があります。

いきなり全力ダッシュや最大重量に入るのではなく、これから行う動作に徐々に近づけていくイメージです。

競技によって必要な動きは違います。

ランニングと野球では違いますし、サッカーと筋力トレーニングでもウォーミングアップの内容は変わります。

運動前の静的ストレッチはダメ?

ここは誤解されやすいところです。

「運動前に静的ストレッチをするとパフォーマンスが落ちる」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

静的ストレッチとは、筋肉を伸ばした状態で一定時間保持する方法です。

研究では、長時間の静的ストレッチを単独で行った直後には、筋力やパワーなどが一時的に低下する場合があることが報告されています。PubMed

一方で、短時間の静的ストレッチをウォーミングアップ全体の一部として行う場合まで、

「運動前は絶対にやってはいけない」

と考える必要はありません。

大切なのは、静的ストレッチだけでウォーミングアップを終わらせるのではなく、その後に動的な運動や競技に近い動作を組み合わせることです。

▶ ストレッチは長くやるほどいい?ストレッチの考え方についてはこちら

 

動的ストレッチなら必ず良い?

動的ストレッチは、身体を動かしながら筋肉や関節を動かしていく方法です。

運動前の準備として使いやすく、競技動作につなげやすい方法ですが、

「静的ストレッチ=悪い、動的ストレッチ=良い」

と単純に分ける必要はありません。

競技、目的、本人の身体の状態、その後に行う運動によって使い分けます。

実際、2024年に発表された体操競技を対象とするシステマティックレビュー・メタ解析でも、ウォームアップ方法による急性のパフォーマンスへの影響は、評価する能力や方法によって異なっています。PubMed

ケガ予防のためにウォーミングアップをすればいい?

これも少し整理が必要です。

単に、

「運動前に身体を温めればケガを防げる」

と断定することはできません。

一方、筋力・バランス・着地・アジリティなどを組み合わせた構造化された神経筋ウォームアッププログラムについては、特定のスポーツ・集団で下肢外傷の発生を減らした研究があります。PubMed

バスケットボール選手を対象としたレビューでも、複数の要素を組み合わせた神経筋ウォームアップについて、下肢外傷全体に対するエビデンスが報告されています。ただし、個々の運動のどれが効果を生んだのかまでは分けられません。PubMed

つまり、

ストレッチを1種類やればケガを予防できる

という話ではありません。

ウォーミングアップは、普段のトレーニング、身体の状態、運動量などと合わせて考える必要があります。

どのくらいやればいい?

「ウォーミングアップは10分?」

「20分やった方がいい?」

と時間を決めたくなりますが、全員に共通する時間を決めるのは難しいところです。

例えば、

軽いジョギングをする人
高重量のスクワットをする人
野球で投球する人
サッカーの試合に出る人

では、その後に求められる動作が違います。

時間だけではなく、

身体が動きやすくなっているか
これから行う動作を無理なく行えるか
徐々に運動強度を上げられているか

なども確認してみましょう。

「とりあえずストレッチ」から一歩進めてみよう

運動前の準備は、

ストレッチをしたか・していないか

だけで考えるものではありません。

軽い運動から始めて、身体を動かし、これから行う競技やトレーニングに近い動作へ徐々に移行していく。

その中で必要に応じて静的ストレッチや動的ストレッチを取り入れる。

こう考えると分かりやすいでしょう。

また、痛みがある状態で無理にウォーミングアップを続けたり、「動かせば治る」と判断したりするのは避けましょう。外傷後や痛みが強い場合などは、運動を始める前に状態を確認することが大切です。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

参考文献

  1. Fradkin AJ, Zazryn TR, Smoliga JM. Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis. J Strength Cond Res. 2010;24(1):140-148.
    PubMedで確認する

  2. Behm DG, Chaouachi A. A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance. Eur J Appl Physiol. 2011;111(11):2633-2651.
    PubMedで確認する

  3. Herman K, et al. The effectiveness of neuromuscular warm-up strategies, that require no additional equipment, for preventing lower limb injuries during sports participation: a systematic review. BMC Med. 2012;10:75.
    PubMedで確認する

  4. Davis A, et al. The Effectiveness of Neuromuscular Warmups for Lower Extremity Injury Prevention in Basketball: A Systematic Review. Sports Med Open. 2021.
    PubMedで確認する

2026年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

肩こりは姿勢が悪いから?「猫背=肩こり」とは限らない理由

「肩がこるのは姿勢が悪いから」

「猫背だから肩こりになる」

こんな話を聞いたことはありませんか?

デスクワークやスマートフォンを使っていると、頭が前に出たり、背中が丸くなったりすることがあります。

そのため、

「姿勢をまっすぐに直せば肩こりもなくなる」

と考えたくなります。

しかし、実際の首や肩まわりの症状は、姿勢だけで説明できるほど単純ではありません。

猫背と肩こりは関係ないの?

「姿勢はまったく関係ありません」というわけでもありません。

前方頭位(頭が前に出た姿勢)と頸部痛との関係を調べたシステマティックレビューでは、成人では頸部痛がある人の方が前方頭位の傾向がみられ、痛みや機能障害との関連も報告されています。一方、年齢による違いもみられています。

ここで重要なのは、

「関連がある」=「その姿勢が原因」ではない

ということです。

痛みがあるため姿勢が変わっている可能性もありますし、仕事の内容、作業時間、身体活動、筋肉の緊張など、ほかの要因が一緒に関係している可能性もあります。

 

「正しい姿勢」をずっと続ければいい?

では、

「背筋を伸ばして、胸を張って、肩甲骨を寄せた姿勢」

を一日中続ければよいのでしょうか。

これも単純ではありません。

オフィスワーカーの頸部痛について調べたシステマティックレビューでは、職場環境への満足度、作業の変化の少なさ、自覚的な筋緊張など、複数の要因が頸部痛の発生と関連していました。一方、多くの身体的要因についてはエビデンスが限定的または一貫していませんでした。

つまり、

「この姿勢なら絶対に肩がこらない」という一つの正解を決めるのは難しい

ということです。

無理に胸を張り続けたり、肩甲骨を寄せ続けたりする必要もありません。

同じ姿勢が長く続いていませんか?

姿勢の「形」だけでなく、

その姿勢をどのくらい続けているか

にも目を向けてみましょう。

2020年の縦断研究では、オフィスワーカーの頸部痛発生について、座っている時間、仕事上のストレスや負担など複数の要因との関連が報告されています。

ただし、座位時間と頸部痛の関連についても研究結果は一貫しておらず、2023年のメタ解析ではオフィスワーカーに限定すると統計学的に明確な関連には達していませんでした。

そのため、

「30分座ったら必ず立つ」

など、全員に共通する時間を決める必要はありません。

長時間作業しているときには、ときどき姿勢を変えたり、立ったり、身体を動かしたりすることを考えてみてもよいでしょう。

▶ デスクワークによる身体の不調についてはこちら

肩こりを見るときは「姿勢以外」も確認

首や肩の症状があるときには、

姿勢だけをチェックするのではなく、

仕事やパソコン作業の時間
同じ作業を続けている時間
身体活動や運動習慣
筋肉の緊張感
仕事内容や作業環境
睡眠や日々の体調

なども含めて考えていきます。

頸部痛は一つの要因だけで説明するのではなく、複数の身体的・仕事上・心理社会的要因を考慮する必要があります。

 

運動はした方がいい?

慢性的な首の痛みがあるオフィスワーカーでは、運動が選択肢の一つになります。

2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、首・肩・肩甲帯周囲などの筋力トレーニングによって、痛みや機能障害が軽減する可能性が示されています。

ただし、含まれた8件のRCTはいずれもバイアスリスクが高く、エビデンスの確実性は低いと評価されています。

そのため、

「この運動をすれば肩こりが治る」

と考えるのではなく、状態に合わせて運動量や内容を調整していくことが大切です。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

姿勢だけを悪者にしない

鏡を見て、

「猫背だから肩がこるんだ」

と決めつける必要はありません。

一方で、姿勢をまったく気にしなくていいということでもありません。

大切なのは、

姿勢の形だけを見るのではなく、どのくらい同じ姿勢を続けているか、身体を動かしているか、仕事や生活でどのような負担がかかっているかまで含めて考えること。

「良い姿勢をずっと維持する」ことを目標にするより、

無理なく姿勢を変えながら、身体を動かせる環境をつくる

という考え方の方が現実的です。

また、強い痛み、腕や手のしびれ・筋力低下、外傷後の症状、発熱などを伴う場合や、症状が強くなっている場合には、単なる「肩こり」と自己判断せず、医療機関での評価を検討しましょう。

 

 

  1. Mahmoud NF, et al. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019.
  2. Jun D, et al. Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis. Int Arch Occup Environ Health. 2017;90:373–410.
  3. Johnston V, et al. A Longitudinal Evaluation of Risk Factors and Interactions for the Development of Nonspecific Neck Pain in Office Workers in Two Cultures. 2020.
  4. Jones LB, et al. The influence of exercise on pain, disability and quality of life in office workers with chronic neck pain: A systematic review and meta-analysis. Appl Ergon. 2024;117:104216.

 

2026年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

転んで手をついたあと手首が痛い…ただの捻挫?骨折を疑うポイント

転んだとき、とっさに手をついてしまうことがあります。

そのあと手首が痛くても、

「少し動かせるから骨折ではないだろう」
「ものを持てるから大丈夫」
「それほど腫れていないから捻挫かな」

と思って、そのまま様子を見ることもあるかもしれません。

しかし、手首が動くことや、見た目の腫れが少ないことだけでは、骨折を否定できません。

転倒して手をついたあとに痛みが続く場合には、痛む場所や腫れ、動かしたときの痛みなどを確認することが大切です。

転んで手をつくと、どこを骨折する?

転倒時に手をつく外傷は、橈骨・尺骨骨折の代表的な受傷機転です。特に成人の橈骨遠位端骨折は、手をついた転倒によって生じることが多い骨折です。

また、親指側の手首にある舟状骨にも注意が必要です。

舟状骨骨折も、手をついた際に生じることがあります。

つまり「手首をひねっただけだと思った」というケースでも、

橈骨遠位端骨折や舟状骨骨折などが隠れている可能性があります。

 

「手首が動く=骨折していない」ではありません

骨折というと、

「全く動かせない」
「ものすごく腫れる」
「明らかに変形する」

というイメージがあるかもしれません。

もちろん、そのような症状を伴う骨折もあります。

しかし橈骨遠位端骨折では、腫れや変形が必ずみられるわけではありません。 手首を反らしたときの痛み、腫れ、変形、前腕を回したときの痛みなどが骨折を疑う所見として報告されています。

したがって、

「動かせたから骨折ではない」と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。

痛む場所も重要です

手首全体が痛いのか、それとも特定の場所が強く痛いのかも確認します。

特に注意したい場所の一つが、親指側の手首です。

ここには舟状骨があります。

舟状骨骨折では、転倒直後より痛みが軽くなり、受診が遅れるケースもあります。

そのため、

「昨日より少し楽だから大丈夫」

だけで判断するのではなく、手をついたという受傷機転と、どこに圧痛が残っているかを合わせて考えることが重要です。

レントゲンで異常がなければ大丈夫?

ここも注意が必要です。

急性の手・手関節外傷では、まずX線検査が一般的です。ACRでは、初期画像として対象部位のX線撮影を「Usually Appropriate」としています。

しかし、

最初のX線で明らかな骨折が確認できなくても、骨折を完全には否定できない場合があります。

骨折が疑われる状態で初回X線が陰性または判断困難だった場合、ACRでは10〜14日後の再X線、造影なしMRI、造影なしCTを次の画像検査として適切としています。

またNICEでは、舟状骨骨折が疑われる場合、十分な診察のうえでMRIを第一選択の画像検査として検討することを推奨しています。

「レントゲンで異常なしだったから絶対に骨折ではない」というわけではない、という点は覚えておきたいところです。

 

こんなときは医療機関での評価を

転倒して手をついたあと、

痛みや腫れが強い
手首に変形がある
特定の骨の部分を押すと強く痛む
手首を動かしたときの痛みが強い
指のしびれや感覚の異常がある
指先の色や血流に異常が疑われる
症状が続いている

といった場合には、骨折やその他の組織損傷も考えて評価する必要があります。

特に皮膚が破れている骨折、神経・血管障害が疑われる状態などでは、速やかな医療機関での評価が必要です。

捻挫か骨折かは、見た目だけでは判断できません

転倒後の手首の痛みでは、

「腫れているか」
「動かせるか」

だけを見るのではなく、

どのように転んだか
どこが痛いか
どこに圧痛があるか
どの動作で痛むか
腫れや変形はないか
神経・血流に問題がないか

などを総合して確認します。

必要に応じて画像検査を行い、骨折の有無を確認することも重要です。

「動くから大丈夫」と決めつけず、転倒後に手首の痛みが強い場合や、痛みが続く場合には適切な評価を受けましょう。

▶ 手首・手の痛みについて詳しくはこちら

  1. American College of Radiology. ACR Appropriateness Criteria® Acute Hand and Wrist Trauma.
  2. NICE. Fractures (non-complex): assessment and management. NG38.
  3. Patel DS, Statuta SM, Ahmed N. Common Fractures of the Radius and Ulna. Am Fam Physician. 2021;103(6):345-354.
2026年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴ひも、ちゃんと結んでいますか?靴のフィット感と靴ひもの役割

靴を選ぶとき、

「サイズは合っている」
「幅もきつくない」
「つま先にも余裕がある」

そこまで確認していても、意外と見落とされやすいのが靴ひもです。

靴ひもを緩めたまま履いていたり、一度結んだ靴をそのまま脱ぎ履きしたりしていませんか?

靴ひもは、単に靴が脱げないようにするためだけのものではありません。

足と靴をどのようにフィットさせるかを調整する役割もあります。

靴ひもを緩めたままだとどうなる?

健康な成人20人を対象にした研究では、靴ひもの締め方を「快適に締めた状態」「緩めた状態」「完全に緩めた状態」で比較しています。

靴ひもを緩めるにつれて、参加者が感じるかかとの浮きや、靴の中で足が前後に動く感覚が増加しました。また、足底圧の一部にも変化がみられました。

つまり、

靴のサイズが合っていても、靴ひもの状態によって靴の中での足の収まり方は変わる

ということです。

ただし、これだけで「靴ひもが緩いとケガをする」とまでは言えません。

 

強く締めればいいわけでもありません

では、靴ひもはできるだけ強く締めればいいのでしょうか?

これも違います。

ランナーを対象とした研究では、靴ひもの通し方や締め方によって、足の甲にかかる圧力や快適性、安定感が変化することが報告されています。

足の甲が強く圧迫されて、

「痛い」
「しびれる」
「圧迫感が強い」

という状態で無理に履き続ける必要はありません。

重要なのは、

緩すぎず、締めすぎず、足と靴が無理なくフィットしていること

です。

靴を履くときは、かかとの位置も確認

靴ひもを締める前に確認したいのが、足が靴の中にどのように収まっているかです。

靴を履いたら、

① かかとを靴の後方に合わせる
② つま先に無理な圧迫がないか確認する
③ 足の甲に強い圧迫がない程度に靴ひもを調整する
④ 立ってフィット感を確認する
⑤ 実際に少し歩いて確認する

という流れで見ると分かりやすいでしょう。

ここでも「靴ひもを何Nの力で締める」など、一つの基準を全員に当てはめるわけではありません。

足の形、靴の形、使用目的などによって適したフィット感は変わります。

 

スポーツシューズでは特にフィットが重要?

ランニングでは、靴ひもの通し方や締め方によって足底圧、足の動き、足と靴の固定感などが変化することが報告されています。

ただし、

「この結び方なら速く走れる」
「この結び方ならケガを予防できる」

と単純には言えません。

ランニングシューズの構造とバイオメカニクスを調べたシステマティックレビューでも、靴ひもを含む一部のシューズ構造について、明確な科学的指針を作るには研究が不足しているとされています。

スポーツでは競技によって、

走る
止まる
切り返す
ジャンプする

など動作が違います。

そのため、普段履きとスポーツシューズで同じフィット感が最適とは限りません。

「ランナーズループ」をすればいい?

ランニングシューズには、一番上に余っているように見える穴が付いていることがあります。

これを利用して、かかと周囲のフィットを調整する結び方が使われることがあります。

ただし、

全員がこの結び方にすればいいわけではありません。

実験研究では、上部のアイレットまで使用する結び方によって、ランニング時の足と靴の固定感などが変化することが報告されていますが、個人に合わせて調整することが重要です。

通常の結び方で問題なくフィットしている人まで、必ず変更する必要はありません。

靴ひもだけでサイズの問題は解決できません

ここは特に重要です。

例えば、

靴が大きすぎるから靴ひもを強く締める
幅が合っていないのに靴ひもだけで固定する

という使い方では、根本的なサイズや形状の不一致を解決できないことがあります。

不適切なサイズの靴と足部痛・足部障害との関連を報告したレビューもあります。

靴ひもを見る前に、

足長
足幅・足囲
つま先の余裕
かかとの収まり
靴そのものの形

なども合わせて確認する必要があります。

インソールを入れる前にも靴を確認

インソールを使用するときも同じです。

インソールだけを足に合わせれば終わりではありません。

インソールを入れる靴そのものが大きすぎたり、形が足に合っていなかったり、靴ひもが適切に調整されていなかったりすれば、足と靴のフィットは変わります。

以前の記事でも紹介したように、靴の快適性は靴そのものの構造だけでなく、個人差や使用する状況など複数の要因が関係します。

だからこそ、

足 × 靴 × 使用目的

を一緒に考えることが大切です。

靴ひもまで含めて「靴のフィット」

靴選びというと、つい「26.0cm」などのサイズ表示だけに目が向きます。

しかし実際には、

靴のサイズ・形
+
足の形
+
靴ひもの調整
+
使用目的

まで含めてフィットを考える必要があります。

「緩い方が楽」でも、
「強く締めれば安定する」でもありません。

実際に履いて、かかとが大きく浮かないか、足が靴の中で必要以上に動かないか、甲に痛みや強い圧迫感がないかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

  1. Fiedler KE, et al. The effect of shoe lacing on plantar pressure distribution and in-shoe displacement of the foot in healthy participants. Gait Posture. 2011;33(3):396-400.
  2. Hagen M, Hennig EM. Effects of different shoe-lacing patterns on the biomechanics of running shoes. J Sports Sci. 2009;27(3):267-275.
  3. Hagen M, et al. Effects of different shoe-lacing patterns on dorsal pressure distribution during running and perceived comfort. Res Sports Med. 2010;18(3):176-187.
  4. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. J Foot Ankle Res. 2021.
 
 
2026年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

スクワットで膝がつま先より前に出たらダメ?フォームの「常識」を考える

スクワットをするとき、

「膝をつま先より前に出さないで」

と言われたことはありませんか?

トレーニングやリハビリの現場でも、以前からよく聞くフォームの注意点です。

では、本当に膝がつま先より少しでも前に出たら「間違ったスクワット」なのでしょうか?

結論からいうと、

「膝がつま先より前に出る=ダメ」と一律に決めることはできません。

スクワットでは膝だけでなく、足関節・股関節・体幹などが連動して動きます。

そのため、膝だけを見てフォームの良し悪しを判断するのではなく、目的や身体の特徴、症状、負荷などを合わせて考えることが大切です。

なぜ「膝をつま先より前に出すな」と言われるの?

膝が前方へ移動すると、条件によって膝関節にかかる力や膝伸展モーメントが大きくなることがあります。

スクワットでは、膝の屈曲角度が大きくなるにつれて膝蓋大腿関節などにかかる力も変化します。

そのため、

「膝への負荷を減らすために、膝を前に出さない」

という指導につながったと考えられます。

ただし、ここで重要なのが、

身体にかかる負荷は消えるのではなく、フォームによって配分が変わる

という点です。

 

膝を前に出さなければ安全?

2003年の研究では、バーベルスクワットで、

「膝をつま先より前に出せるスクワット」

と、

「板を置いて膝がつま先より前に出ないよう制限したスクワット」

を比較しています。

膝の前方移動を制限すると膝トルクは小さくなりました。

一方で、股関節トルクは大きく増加しました。

つまり、

膝を前に出さない
=身体全体への負荷が小さくなる

とは限りません。

膝への要求を減らそうとして、股関節や体幹をより使うフォームになることがあります。

だからこそ、「膝だけ」を見てフォームを決めるのは難しいのです。

人によって膝の位置が違うのはなぜ?

同じようにスクワットしても、全員がまったく同じフォームにはなりません。

例えば、

  • 大腿骨や下腿の長さ
  • 足関節の動き
  • 股関節の動き
  • スタンス幅
  • 足の向き
  • しゃがむ深さ
  • バーベルなどの負荷
  • スクワットを行う目的

などによって動作は変わります。

スクワット自体が、足関節・膝関節・股関節・体幹を含む複合的な動作です。

そのため、

「つま先から膝が何cm出たらダメ」

という一つの数字ですべての人を判断することはできません。

深くしゃがむと膝に悪い?

これもよく聞かれます。

スクワットでは膝の曲がりが大きくなるにつれて、膝関節にかかる力も変化します。

ただし、

「深くしゃがむ=膝を傷める」

と単純に考えることもできません。

スクワット深度と膝・脊椎への負荷を検討したレビューでは、適切な技術と段階的な負荷設定のもとで行う深いスクワットについて、「深いから危険」とする考えを支持していません。

一方で、膝に症状がある人のリハビリでは、膝の屈曲角度や外部負荷を調整することで、関節への要求を変えることがあります。

つまり、ここでも、

深い=良い
浅い=良い

ではありません。

 

じゃあ、スクワットでは何を見ればいい?

膝がつま先より前に出ているかだけではなく、

① 痛みが出ていないか
② 足裏が安定しているか
③ 足関節・膝・股関節がどう動いているか
④ 体幹を必要以上に倒していないか
⑤ 自分でコントロールできる範囲で動けているか
⑥ 重さや回数が目的に合っているか

などを確認します。

例えば、膝を前に出さないことだけを意識した結果、無理にお尻を後ろへ引き、上体を大きく倒しているのであれば、別の部位への要求が増えている可能性があります。

逆に膝に痛みがある場合などには、症状に合わせて一時的にしゃがむ深さや膝の動きを調整することもあります。

「正しいフォーム」は一つではありません

スクワットには、

自重スクワット
ゴブレットスクワット
フロントスクワット
バックスクワット
リハビリとして行うスクワット

など、さまざまな方法があります。

目的も、

筋力を高めたい
スポーツのためにトレーニングしたい
ケガから復帰したい
日常生活に必要な動きを練習したい

など人によって違います。

そのため、全員に同じフォームを当てはめるのではなく、**「誰が・何のために・どのくらいの負荷で行うのか」**を考える必要があります。

「膝がつま先より前に出たらダメ」だけで判断しない

スクワットで膝がつま先より前に出ること自体を、すぐに「悪いフォーム」と判断する必要はありません。

一方で、

「膝はどれだけ前に出しても問題ない」

という意味でもありません。

膝の位置を変えれば、膝・股関節・体幹などに求められる負荷の配分も変わります。

大切なのは、

膝がつま先より前に出たかどうかだけを見るのではなく、身体全体の動き・症状・負荷・目的を合わせて考えること。

スクワットは「一つの正しい形」に身体を合わせるのではなく、目的や身体の状態に応じてフォームや負荷を調整していきます。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

  1. Fry AC, Smith JC, Schilling BK. Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. J Strength Cond Res. 2003;17(4):629-633.
  2. Escamilla RF. Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Med Sci Sports Exerc. 2001;33(1):127-141.
  3. Hartmann H, Wirth K, Klusemann M. Analysis of the load on the knee joint and vertebral column with changes in squatting depth and weight load. Sports Med. 2013;43(10):993-1008.
  4. Schoenfeld BJ. Squatting kinematics and kinetics and their application to exercise performance. J Strength Cond Res. 2010;24(12):3497-3506.
2026年9月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

青あざがひどい=重症?打撲の内出血で知っておきたいこと

机の角に脚をぶつけた。
スポーツ中に相手の膝が太ももに入った。
転んで腕や膝を強く打った。

その直後はそれほどでもなかったのに、翌日になると青紫色の「あざ」が広がっていて、

「こんなに青くなって大丈夫?」

と心配になった経験はありませんか?

一般的に「打撲」と呼ばれるケガでは、皮膚の下にある血管や筋肉などの組織が損傷し、内出血や腫れ、痛みがみられることがあります。

ただし、青あざの見た目だけでケガの重症度を判断することはできません。

打撲すると、なぜ青あざができる?

身体を強くぶつけると、皮膚が切れていなくても、その下にある細い血管などが損傷することがあります。

そこから血液が周囲の組織に広がることで、皮膚の表面から青紫色などに見えることがあります。

これが一般的に「青あざ」と呼ばれているものです。

時間の経過とともに色の見え方が変化することもあります。

そのため、

「色が濃いから重症」
「色が薄いから軽症」

と、色だけで判断することはできません。

 

あざが少し広がってきたけど大丈夫?

受傷した場所と、後から見える内出血の範囲が完全に一致するとは限りません。

皮下に出た血液が周囲へ広がることで、時間が経ってから別の場所まで色が見えることもあります。

したがって、**「あざが広がった=必ずケガが悪化した」**とは限りません。

一方で、

  • 腫れが急激に強くなる
  • 痛みが強くなっている
  • 患部が強く張っている
  • しびれや感覚の異常がある
  • 手足を動かしにくくなっている

といった変化がある場合は、見た目の色だけで判断しないことが重要です。

「ぶつけただけ」でも骨折することはある?

あります。

「打撲」は身体をぶつけたときによく使われる言葉ですが、強い外力が加われば骨や筋肉などにも損傷が生じる可能性があります。

特に、

骨の限られた場所を押すと強く痛む
明らかな変形がある
関節を動かすことが難しい
体重をかけられない・手を十分使えない
強い腫れがある

などの場合には、「ただの打撲」と自己判断しない方がよいでしょう。

受傷した部位や状況によっては、骨折などの有無を確認するために画像検査が必要になることがあります。

打撲したら、とにかく冷やせばいい?

以前は急性外傷に対して「RICE」という言葉が広く使われてきました。

そのため、

「打撲したら、とにかく長時間冷やした方が早く治る」

と思っている方もいるかもしれません。

しかし現在、冷却については少し慎重に考える必要があります。

急性軟部組織損傷に対する冷却の研究では、痛みを軽減する目的では利用できる可能性がある一方、組織の修復を早めることを示す十分なヒトでの根拠はありません。

そのため、

「冷やせば早く治る」

とは言い切れません。

冷却する場合も、皮膚へ直接強い冷却物を当て続けたり、感覚がなくなるほど長時間冷やしたりするのは避けます。

痛みを和らげるための一つの方法として考えるのがよいでしょう。

打撲したところを揉んでもいい?

受傷直後に、痛みや腫れが強い場所を無理に揉む必要はありません。

「内出血を散らした方が早く治る」

と考えて強くマッサージする方もいますが、まずはどの組織が損傷している可能性があるのかを確認することが重要です。

特に強い痛みや腫れがある場合には、自己判断で強く押したり揉んだりせず、状態を確認しましょう。

 

打撲したときに確認したいポイント

青あざの大きさだけを見るのではなく、

どこをぶつけたのか
どのくらいの強さでぶつけたのか
どこを押すと痛いのか
腫れはどう変化しているか
関節を動かせるか
体重をかけられるか・手を使えるか
しびれや感覚異常はないか

などを確認します。

また、時間が経ってから症状がどのように変化しているかを見ることも大切です。

こんなときは医療機関での評価を考えましょう

打撲だと思っていても、

明らかな変形がある
強い痛みや腫れが続く・悪化している
手足を動かしにくい、体重をかけられない
しびれや感覚異常がある
皮膚の傷や出血を伴っている
強い外力が加わった

などの場合には、必要に応じて医療機関での検査を検討します。

特に強い外傷では、見た目だけで骨折や深部の組織損傷を否定することはできません。

青あざの見た目だけで判断しないことが大切

打撲すると、青紫色の内出血が目立つことがあります。

見た目が強いと不安になりますが、

「青あざが大きい=重症」
「歩ける=骨折していない」
「とにかく冷やせば早く治る」

とは限りません。

大切なのは、あざの色だけではなく、痛む場所・腫れ・動き・受傷状況・症状の変化などを合わせて確認することです。

池上7丁目整骨院では、外傷の状態を確認し、必要に応じて超音波画像観察装置も使用しています。

骨折などが疑われる場合には、医療機関での検査をご案内します。

▶ 骨折・捻挫などの外傷について詳しくはこちら

  1. Racinais S, et al. Cryotherapy for treating soft tissue injuries in sport medicine: a critical review. Br J Sports Med. 2024;58(20):1215-1223.
  2. Bleakley C, McDonough S, MacAuley D. The use of ice in the treatment of acute soft-tissue injury: a systematic review of randomized controlled trials. Am J Sports Med. 2004;32(1):251-261.
  3. Bayer ML, et al. Treatment of acute muscle injuries. Ugeskr Laeger. 2019. 冷却・圧迫・挙上について、患者の忍容性はあるものの組織修復を促進する根拠はないと整理しています。
2026年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

朝起きたら腰が痛い…寝方が悪い?朝の腰痛で考えたいこと

「朝起きたときだけ腰が痛い」

「寝ている間に腰を痛めたのかな?」

「マットレスが合っていない?」

このような経験がある方もいると思います。

朝に腰が痛いと、寝方や寝具が原因だと考えたくなります。

しかし、腰痛にはさまざまな要因が関係するため、

「朝に痛い=寝方が悪い」

と一つの原因に決めることはできません。

朝の腰痛は「寝相」のせい?

寝ている姿勢によって腰の感じ方が変わることはあります。

ただし、

「仰向けは腰に悪い」
「横向きなら腰痛にならない」
「この寝方が正解」

と、すべての人に共通する寝姿勢を決めることは難しいです。

慢性腰痛では睡眠の質の低下や睡眠障害が多く報告されており、睡眠状態の変化と腰痛の変化との関連を示したシステマティックレビューもあります。

さらに2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、睡眠問題がある人では、その後に慢性筋骨格系疼痛がみられるリスクが高い傾向が報告されています。一方で、痛みから睡眠への影響については不確実な部分も残っています。

つまり、腰痛と睡眠は「寝方だけ」の問題として考えない方がよいということです。

 

起きて動くと少し楽になるのは?

「起きた直後は腰が重いけれど、動いているうちに気にならなくなる」

という方もいます。

この場合も、

「筋肉が硬くなったから」
「血流が悪かったから」

など、一つの理由に決めつけないようにします。

重要なのは、朝だけなのか、日中も続くのか、動いたときにどう変化するのか、どのくらいの期間続いているのかなど、症状の経過を確認することです。

朝に腰が気になる場合、強い痛みがなければ、起床後にいきなり大きく腰を曲げたり捻ったりする必要はありません。

まず立つ、歩く、無理のない範囲で身体を動かすなど、その日の状態を確認しながら活動を始めるという考え方でよいでしょう。

慢性一次性腰痛についてWHOも、教育・セルフケアとともに、構造化された運動プログラムなどを選択肢として推奨しています。ただし、「この運動を朝○回やれば腰痛が治る」という意味ではありません。

硬いマットレスほど腰にいい?

これはよく聞く話です。

「腰が悪い人は硬い布団がいい」

と言われることがあります。

しかし、硬ければ硬いほど良いという根拠はありません。

慢性非特異的腰痛があり、寝ているときや起床時に腰痛のある313人を対象としたランダム化比較試験では、「硬いマットレス」と「中程度の硬さのマットレス」を比較しました。

90日後、中程度の硬さのマットレスを使用したグループの方が、ベッド上での痛みや起床時の痛み、機能障害について良好な結果を示しました。

ただし、これは、

「腰痛なら全員medium-firmを買えばいい」

という意味ではありません。

対象は特定の慢性非特異的腰痛患者であり、2003年の一つのRCTです。

体格、普段の寝姿勢、現在使っている寝具、本人の快適性なども違います。

したがって、

「硬いほど腰に良い」
「高価なマットレスなら腰痛が改善する」

とは考えない方がよいでしょう。

マットレスを買い替える前に確認したいこと

朝に腰が痛いからといって、すぐ寝具を買い替える必要があるとは限りません。

まず、

  • いつから症状があるか
  • 朝だけなのか、一日中あるのか
  • 起きて動くとどう変化するか
  • 夜中に痛みで目が覚めるか
  • 最近、運動量や仕事量が変わっていないか
  • 睡眠時間や睡眠の状態はどうか
  • 脚のしびれや力の入りにくさはないか

なども確認してみましょう。

寝具だけを見るのではなく、腰痛の経過や一日の活動、睡眠などを含めて考えることが重要です。

 

「朝にストレッチすればいい」でもありません

朝に身体を動かして楽になる人であれば、軽く動くことが選択肢になる場合があります。

しかし、

「朝腰が痛い人は、このストレッチをすれば大丈夫」

という共通の方法があるわけではありません。

腰を曲げると症状が増える人もいれば、反対に伸ばす動作で症状が気になる人もいます。

そのため、痛みを我慢して大きく伸ばしたり、「硬いから伸ばさなければ」と無理にストレッチしたりする必要はありません。

状態に合わせて運動の種類や負荷を調整します。

朝の腰痛、こんなときは寝具だけの問題と考えない

朝の腰痛が続いている場合には、単に「寝具が合わない」と自己判断しないことも大切です。

特に、

脚のしびれや力の入りにくさがある
排尿・排便の異常など神経症状がある
転倒や外傷後から強く痛む
発熱など全身症状を伴う
痛みが強くなっている、長く続いている

などの場合には、必要に応じて医療機関での評価を受けます。

「正しい寝方」を探し続けなくてもいい

朝の腰痛があると、

「寝方が悪かったのかな」

「もっと硬いマットレスにした方がいいかな」

と考えてしまいます。

しかし、腰痛は寝姿勢や寝具だけで決まるものではありません。

睡眠、日中の活動、運動量、身体の状態など、さまざまな要素を一緒に考えることが大切です。慢性一次性腰痛についても、WHOは一つの治療だけに頼るのではなく、個人の身体的・心理的・社会的要因を考慮した包括的な対応を推奨しています。

「朝腰が痛いから、とりあえずマットレスを買い替える」

その前に、まず現在の症状や生活を一度整理してみましょう。

▶ 腰の痛み・ぎっくり腰・坐骨神経痛についてはこちら

  1. Runge N, et al. The bidirectional relationship between sleep problems and chronic musculoskeletal pain: a systematic review with meta-analysis. Pain. 2024;165(11):2455-2467.
  2. Ho KKN, et al. Are Changes in Sleep Quality/Quantity or Baseline Sleep Parameters Related to Changes in Clinical Outcomes in Patients With Nonspecific Chronic Low Back Pain?: A Systematic Review. Clin J Pain. 2022.
  3. Kovacs FM, et al. Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial. Lancet. 2003;362:1599-1604.
  4. World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
2026年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴は大きめを選んだ方がいい?足に合う靴のサイズと「捨て寸」の考え方

靴を選ぶとき、

「つま先が当たらないように、大きめを選んでいます」

「子どもはすぐ足が大きくなるから、少し大きい靴を買っています」

という方も多いのではないでしょうか。

確かに、靴の中には足の指が動くための余裕が必要です。

しかし、

「大きめの靴=足に合っている」

とは限りません。

靴を選ぶときには、表示されているサイズだけではなく、足の長さ・幅・靴の形・かかとの収まり方などを合わせて確認することが大切です。

足のサイズが25cmなら、25cmの靴でいい?

ここで知っておきたいのが、

「足の長さ」と「靴のサイズ表示」は同じものとは限らない

ということです。

同じサイズ表示でも、メーカーやモデルによって靴内部の長さ・幅・形状は異なります。

また、人の足も長さだけではありません。

足幅や足囲、指の形、左右差などがあります。

そのため、

「いつも26cmだから今回も26cm」

だけで決めると、同じサイズでもフィット感が変わることがあります。

靴のフィッティングについてのレビューでも、足の形には個人差があり、適切なフィットは個別に考える必要性が指摘されています。

「捨て寸」って何?

靴を履いたときに、つま先と靴の先端との間に設ける余裕を一般に「捨て寸」と呼びます。

歩くときには足や指が靴の中で動くため、つま先が靴の先端に強く当たらないためのスペースが必要になります。

ただし、

「捨て寸は必ず○mm」

と、すべての人・すべての靴に共通する数字で決めるのは適切ではありません。

例えば、子どもの靴を調べた研究では5~15mmを適切な長さの余裕として評価したものや、10mmを用いた研究があります。

一方、2025年の小児靴に関するレビューでは、つま先の余裕を含めたフィッティング基準にはばらつきがあり、高品質な研究による統一された基準が不足していることが指摘されています。

ですから、数字だけでなく、

つま先が当たっていないか、指が窮屈ではないか、かかとが大きく浮かないか

などを実際に履いて確認することが重要です。

 

大きすぎる靴なら安心?

では、つま先に余裕があればあるほど良いのでしょうか。

これも違います。

大きすぎる靴では、足と靴の形が合わず、靴の中で足が必要以上に動いたり、かかとの収まりが悪くなったりすることがあります。

つまり、

「小さい靴を避けるために、とりあえず大きいサイズを選ぶ」

のではなく、足全体と靴のフィットを確認する必要があります。

実際、靴のサイズや幅が足に合っていない人は珍しくありません。2018年のレビューでは、対象となった研究で63~72%の人が足の長さまたは幅に適合しない靴を履いており、不適切なフィットと足部痛・胼胝・小趾変形などとの関連が報告されています。

ただし、これは「合わない靴を履けば必ず足のトラブルが起こる」という意味ではありません。

「幅広だから大きいサイズ」は注意

これも靴選びでよくあります。

「横がきついから、0.5cm大きいサイズにした」

という選び方です。

しかし、

足幅の問題を靴の長さだけで解決しようとすると、今度は前後方向が大きくなりすぎる

可能性があります。

足の長さだけではなく、

幅や靴型(ラスト)が自分の足に合っているか

も確認します。

研究でも、靴の長さだけでなく「幅が合っていない」という問題が多く報告されています。

子どもは成長するから、大きめでいい?

子どもの靴では特に注意したいところです。

「すぐ大きくなるから」

と、成長を見越してかなり大きな靴を選びたくなることがあります。

しかし、子どもの靴でも現在の足に適切にフィットしていることを基本に考えます。

8~12歳の子どもを対象に、適合サイズ・1サイズ大きい靴・1サイズ小さい靴を比較した研究では、小さい靴で歩行時の足部運動が一部制限され、適合した靴の方が全体的な快適性も高く評価されました。

また、子どもの靴については「大きすぎればどうなる」「何mmなら最適」といった部分には、まだ十分な質のエビデンスがありません。

そのため、

「成長するから大きめ」ではなく、現在の足に合っているかを確認し、成長に合わせて定期的に見直す

という考え方が現実的です。

 

靴を履いたら、ここを確認

サイズ表記だけではなく、実際に履いて確認しましょう。

例えば、

  • つま先が靴の先端に強く当たっていない
  • 指が押しつぶされるような窮屈さがない
  • 足幅が強く圧迫されていない
  • かかとの収まりが悪くない
  • 歩いたときに足が靴の中で必要以上に動かない
  • 痛みや強い圧迫感がない

といったところを確認します。

「○cmだから合っている」ではなく、実際のフィット感まで確認することがポイントです。

靴の快適性に関するレビューでも、快適性は靴の構造だけではなく、使用目的や個人の解剖学的・生理学的特徴など複数の要因に影響されるとされています。

スポーツシューズも同じ?

基本的な考え方は同じですが、靴に求められる機能は使用目的によって変わります。

普段履き、ランニング、サッカー、バスケットボールなどでは、動き方や靴の構造も違います。

そのため、

普段履きで快適だったサイズやモデルが、そのまま競技用シューズでも最適とは限りません。

サイズ表示だけでなく、

「何をするための靴なのか」

まで含めて選ぶことが大切です。

インソールを考える前に、まず靴を確認

足に違和感があると、

「インソールを入れた方がいいのかな?」

と考えることもあると思います。

しかし、インソールを考える前に確認したいのが靴そのもののフィットです。

靴が足に合っていない状態では、インソールだけを変えても、靴との組み合わせによっては適切に使用できない場合があります。

当院でもインソールだけを見るのではなく、

足 × 靴 × 使用目的

を確認しながら考えています。

「高いインソールを入れれば大丈夫」ではなく、まず自分の足と靴が合っているかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

参考文献:

  1. Buldt AK, Menz HB. Incorrectly fitted footwear, foot pain and foot disorders: a systematic search and narrative review. J Foot Ankle Res. 2018;11:43.
  2. Morrison SC, et al. Guidelines for Recommended Footwear for Healthy Children and Adolescents: A Rapid Scoping Review. 2025.
  3. González-Elena ML, et al. Footwear fit in schoolchildren of southern Spain: a population study. BMC Musculoskelet Disord. 2019.
  4. Arnold JB, et al. Children’s school footwear: The impact of fit on foot function, comfort and jump performance in children aged 8 to 12 years. Gait Posture. 2021.
  5. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. 2021.
2026年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院