「ラジオ体操って、あれだけで運動になるの?」
子どもの頃から馴染みのあるラジオ体操ですが、大人になってからは、ほとんど行っていないという方も多いのではないでしょうか。
ラジオ体操は短時間で全身を動かせる、身近な運動の一つです。
一方で、ラジオ体操をするだけで筋力が十分につくのか、健康維持にどの程度役立つのかについては、分けて考える必要があります。
今回は、ラジオ体操に期待できることと、運動不足の解消に向けた取り入れ方を、研究やガイドラインを参考に解説します。
ラジオ体操は運動になる?
結論からいうと、ラジオ体操も身体活動の一つです。
ラジオ体操第一には、腕を回す、身体を曲げる、ひねる、伸ばす、軽く跳ぶなど、さまざまな動作が含まれています。
普段あまり身体を動かしていない方にとっては、こうした動作を日常生活に取り入れること自体に意味があります。
WHOの身体活動ガイドラインでも、身体活動をまったく行わないより、少しでも行うことが推奨されています。
ただし、ラジオ体操を行ったからといって、それだけで必要な運動量を満たせるとは限りません。
ラジオ体操に期待できる3つのこと
① 全身を動かす機会になる
デスクワークや長時間の座位が続くと、日常生活で身体を大きく動かす機会が少なくなりがちです。
ラジオ体操には、肩、体幹、股関節、膝、足首などを動かす動作が含まれています。
普段あまり使わない方向にも身体を動かすことで、身体活動の種類を増やすきっかけになります。
ただし、ラジオ体操によって関節可動域が必ず改善する、痛みが解消するといった効果までは断定できません。
② 運動習慣をつくりやすい
運動を始めようと思っても、まとまった時間を確保するのは簡単ではありません。
ラジオ体操第一は約3分間で行えるため、朝起きた後や仕事の休憩時間などにも取り入れやすい運動です。
運動習慣がない方は、まず短時間でも身体を動かすことから始め、徐々に活動量を増やしていく方法が考えられます。
③ 高齢者の身体機能や社会参加との関連が報告されている
2024年に発表された国内研究では、地域の早朝ラジオ体操会に参加する高齢者と、比較対象となる高齢者を1年間追跡しました。
その結果、ラジオ体操会への参加群では、歩行能力に関する指標や友人との社会的つながりについて、比較群より良好な変化が報告されています。
ただし、この研究は参加者を無作為に割り付けた試験ではありません。
もともとの生活習慣や健康状態などが結果に影響した可能性もあり、ラジオ体操そのものが変化の原因だったと断定することはできません。
また、体操の動作だけでなく、決まった時間に外出して人と交流することも、健康的な生活習慣に関係している可能性があります。

ラジオ体操だけで運動不足は解消できる?
ここは重要なポイントです。
WHOは成人に対して、週150〜300分の中強度の有酸素性身体活動、またはそれに相当する身体活動を推奨しています。
さらに、主要な筋群を対象とした筋力トレーニングを週2日以上行うことも推奨しています。
ラジオ体操第一を1日1回、約3分間行った場合、1週間の実施時間は約21分です。
そのため、ラジオ体操だけですべての運動を補おうとするのではなく、ウォーキングや筋力トレーニングなどと組み合わせることが大切です。
なお、ラジオ体操の運動強度は、動作の大きさや実施方法、本人の体力によって変わります。実施時間のすべてを中強度運動として計算できるわけではありません。
ラジオ体操を行うときの注意点
ラジオ体操は身近な運動ですが、すべての方が同じ動きを無理なく行えるわけではありません。
特に、肩や腰、膝などに痛みがある場合は注意が必要です。
例えば、腕を大きく振る動作で肩に痛みが出る方や、身体を反らす動作で腰に痛みが出る方もいます。
そのような場合は、痛みを我慢して大きく動かす必要はありません。
また、跳ぶ動作が不安な方は、ジャンプを省略するなど、身体の状態に合わせて調整しましょう。
転倒が心配な方は、周囲の安全を確保し、必要に応じて椅子や手すりを利用してください。
おすすめの取り入れ方
運動不足が気になる方は、次のような組み合わせから始めてみましょう。
朝:ラジオ体操
無理のない範囲で全身を動かし、身体活動を始めるきっかけにします。
日中:こまめに立ち上がる
デスクワークやテレビ視聴など、長時間座り続ける場面では、立ち上がって歩く時間をつくります。
週に数回:ウォーキングや筋力トレーニング
体力や健康状態に合わせて、有酸素運動や筋力トレーニングを取り入れます。
最初からすべてを行う必要はありません。無理なく続けられる量から始め、少しずつ増やしていきましょう。

痛みがある場合は無理をしない
ラジオ体操を行うときに、肩や腰、膝などに痛みが出る場合は、動作を中止または調整してください。
運動中の痛みには、関節の状態、筋力、可動域、運動負荷など、さまざまな要因が関係する場合があります。
痛みが続く場合や、しびれ、筋力低下などを伴う場合には、医療機関での評価が必要です。
池上7丁目整骨院では、身体の動きや筋力、日常生活での負荷などを確認し、一人ひとりの状態に合わせた運動指導を行っています。
まとめ
ラジオ体操は、短時間で全身を動かせる身近な身体活動です。
運動習慣のきっかけとして取り入れやすく、高齢者を対象とした研究では、ラジオ体操会への参加と歩行能力や社会的つながりとの関連も報告されています。
一方で、ラジオ体操だけで筋力や持久力を十分に高められるとは限りません。
ラジオ体操を運動の入口として、ウォーキングや筋力トレーニングなどにもつなげていくことが、健康維持を考えるうえで大切です。
まずは、無理のない範囲で身体を動かす時間をつくってみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 植田拓也ほか.地域在住高齢者における早朝のラジオ体操会への参加が身体的,精神的,社会的側面に及ぼす効果.日本予防理学療法学会雑誌.2024;3(2):2–9.
https://doi.org/10.57304/jptp.JPTP-D-23-00012 - World Health Organization. WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour. 2020.
https://www.who.int/publications/i/item/9789240015128 - Bull FC, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine. 2020;54:1451–1462.
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