肩こりは姿勢が悪いから?「猫背=肩こり」とは限らない理由

「肩がこるのは姿勢が悪いから」

「猫背だから肩こりになる」

こんな話を聞いたことはありませんか?

デスクワークやスマートフォンを使っていると、頭が前に出たり、背中が丸くなったりすることがあります。

そのため、

「姿勢をまっすぐに直せば肩こりもなくなる」

と考えたくなります。

しかし、実際の首や肩まわりの症状は、姿勢だけで説明できるほど単純ではありません。

猫背と肩こりは関係ないの?

「姿勢はまったく関係ありません」というわけでもありません。

前方頭位(頭が前に出た姿勢)と頸部痛との関係を調べたシステマティックレビューでは、成人では頸部痛がある人の方が前方頭位の傾向がみられ、痛みや機能障害との関連も報告されています。一方、年齢による違いもみられています。

ここで重要なのは、

「関連がある」=「その姿勢が原因」ではない

ということです。

痛みがあるため姿勢が変わっている可能性もありますし、仕事の内容、作業時間、身体活動、筋肉の緊張など、ほかの要因が一緒に関係している可能性もあります。

 

「正しい姿勢」をずっと続ければいい?

では、

「背筋を伸ばして、胸を張って、肩甲骨を寄せた姿勢」

を一日中続ければよいのでしょうか。

これも単純ではありません。

オフィスワーカーの頸部痛について調べたシステマティックレビューでは、職場環境への満足度、作業の変化の少なさ、自覚的な筋緊張など、複数の要因が頸部痛の発生と関連していました。一方、多くの身体的要因についてはエビデンスが限定的または一貫していませんでした。

つまり、

「この姿勢なら絶対に肩がこらない」という一つの正解を決めるのは難しい

ということです。

無理に胸を張り続けたり、肩甲骨を寄せ続けたりする必要もありません。

同じ姿勢が長く続いていませんか?

姿勢の「形」だけでなく、

その姿勢をどのくらい続けているか

にも目を向けてみましょう。

2020年の縦断研究では、オフィスワーカーの頸部痛発生について、座っている時間、仕事上のストレスや負担など複数の要因との関連が報告されています。

ただし、座位時間と頸部痛の関連についても研究結果は一貫しておらず、2023年のメタ解析ではオフィスワーカーに限定すると統計学的に明確な関連には達していませんでした。

そのため、

「30分座ったら必ず立つ」

など、全員に共通する時間を決める必要はありません。

長時間作業しているときには、ときどき姿勢を変えたり、立ったり、身体を動かしたりすることを考えてみてもよいでしょう。

▶ デスクワークによる身体の不調についてはこちら

肩こりを見るときは「姿勢以外」も確認

首や肩の症状があるときには、

姿勢だけをチェックするのではなく、

仕事やパソコン作業の時間
同じ作業を続けている時間
身体活動や運動習慣
筋肉の緊張感
仕事内容や作業環境
睡眠や日々の体調

なども含めて考えていきます。

頸部痛は一つの要因だけで説明するのではなく、複数の身体的・仕事上・心理社会的要因を考慮する必要があります。

 

運動はした方がいい?

慢性的な首の痛みがあるオフィスワーカーでは、運動が選択肢の一つになります。

2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、首・肩・肩甲帯周囲などの筋力トレーニングによって、痛みや機能障害が軽減する可能性が示されています。

ただし、含まれた8件のRCTはいずれもバイアスリスクが高く、エビデンスの確実性は低いと評価されています。

そのため、

「この運動をすれば肩こりが治る」

と考えるのではなく、状態に合わせて運動量や内容を調整していくことが大切です。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

姿勢だけを悪者にしない

鏡を見て、

「猫背だから肩がこるんだ」

と決めつける必要はありません。

一方で、姿勢をまったく気にしなくていいということでもありません。

大切なのは、

姿勢の形だけを見るのではなく、どのくらい同じ姿勢を続けているか、身体を動かしているか、仕事や生活でどのような負担がかかっているかまで含めて考えること。

「良い姿勢をずっと維持する」ことを目標にするより、

無理なく姿勢を変えながら、身体を動かせる環境をつくる

という考え方の方が現実的です。

また、強い痛み、腕や手のしびれ・筋力低下、外傷後の症状、発熱などを伴う場合や、症状が強くなっている場合には、単なる「肩こり」と自己判断せず、医療機関での評価を検討しましょう。

 

 

  1. Mahmoud NF, et al. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019.
  2. Jun D, et al. Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis. Int Arch Occup Environ Health. 2017;90:373–410.
  3. Johnston V, et al. A Longitudinal Evaluation of Risk Factors and Interactions for the Development of Nonspecific Neck Pain in Office Workers in Two Cultures. 2020.
  4. Jones LB, et al. The influence of exercise on pain, disability and quality of life in office workers with chronic neck pain: A systematic review and meta-analysis. Appl Ergon. 2024;117:104216.

 

2026年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

転んで手をついたあと手首が痛い…ただの捻挫?骨折を疑うポイント

転んだとき、とっさに手をついてしまうことがあります。

そのあと手首が痛くても、

「少し動かせるから骨折ではないだろう」
「ものを持てるから大丈夫」
「それほど腫れていないから捻挫かな」

と思って、そのまま様子を見ることもあるかもしれません。

しかし、手首が動くことや、見た目の腫れが少ないことだけでは、骨折を否定できません。

転倒して手をついたあとに痛みが続く場合には、痛む場所や腫れ、動かしたときの痛みなどを確認することが大切です。

転んで手をつくと、どこを骨折する?

転倒時に手をつく外傷は、橈骨・尺骨骨折の代表的な受傷機転です。特に成人の橈骨遠位端骨折は、手をついた転倒によって生じることが多い骨折です。

また、親指側の手首にある舟状骨にも注意が必要です。

舟状骨骨折も、手をついた際に生じることがあります。

つまり「手首をひねっただけだと思った」というケースでも、

橈骨遠位端骨折や舟状骨骨折などが隠れている可能性があります。

 

「手首が動く=骨折していない」ではありません

骨折というと、

「全く動かせない」
「ものすごく腫れる」
「明らかに変形する」

というイメージがあるかもしれません。

もちろん、そのような症状を伴う骨折もあります。

しかし橈骨遠位端骨折では、腫れや変形が必ずみられるわけではありません。 手首を反らしたときの痛み、腫れ、変形、前腕を回したときの痛みなどが骨折を疑う所見として報告されています。

したがって、

「動かせたから骨折ではない」と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。

痛む場所も重要です

手首全体が痛いのか、それとも特定の場所が強く痛いのかも確認します。

特に注意したい場所の一つが、親指側の手首です。

ここには舟状骨があります。

舟状骨骨折では、転倒直後より痛みが軽くなり、受診が遅れるケースもあります。

そのため、

「昨日より少し楽だから大丈夫」

だけで判断するのではなく、手をついたという受傷機転と、どこに圧痛が残っているかを合わせて考えることが重要です。

レントゲンで異常がなければ大丈夫?

ここも注意が必要です。

急性の手・手関節外傷では、まずX線検査が一般的です。ACRでは、初期画像として対象部位のX線撮影を「Usually Appropriate」としています。

しかし、

最初のX線で明らかな骨折が確認できなくても、骨折を完全には否定できない場合があります。

骨折が疑われる状態で初回X線が陰性または判断困難だった場合、ACRでは10〜14日後の再X線、造影なしMRI、造影なしCTを次の画像検査として適切としています。

またNICEでは、舟状骨骨折が疑われる場合、十分な診察のうえでMRIを第一選択の画像検査として検討することを推奨しています。

「レントゲンで異常なしだったから絶対に骨折ではない」というわけではない、という点は覚えておきたいところです。

 

こんなときは医療機関での評価を

転倒して手をついたあと、

痛みや腫れが強い
手首に変形がある
特定の骨の部分を押すと強く痛む
手首を動かしたときの痛みが強い
指のしびれや感覚の異常がある
指先の色や血流に異常が疑われる
症状が続いている

といった場合には、骨折やその他の組織損傷も考えて評価する必要があります。

特に皮膚が破れている骨折、神経・血管障害が疑われる状態などでは、速やかな医療機関での評価が必要です。

捻挫か骨折かは、見た目だけでは判断できません

転倒後の手首の痛みでは、

「腫れているか」
「動かせるか」

だけを見るのではなく、

どのように転んだか
どこが痛いか
どこに圧痛があるか
どの動作で痛むか
腫れや変形はないか
神経・血流に問題がないか

などを総合して確認します。

必要に応じて画像検査を行い、骨折の有無を確認することも重要です。

「動くから大丈夫」と決めつけず、転倒後に手首の痛みが強い場合や、痛みが続く場合には適切な評価を受けましょう。

▶ 手首・手の痛みについて詳しくはこちら

  1. American College of Radiology. ACR Appropriateness Criteria® Acute Hand and Wrist Trauma.
  2. NICE. Fractures (non-complex): assessment and management. NG38.
  3. Patel DS, Statuta SM, Ahmed N. Common Fractures of the Radius and Ulna. Am Fam Physician. 2021;103(6):345-354.
2026年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴ひも、ちゃんと結んでいますか?靴のフィット感と靴ひもの役割

靴を選ぶとき、

「サイズは合っている」
「幅もきつくない」
「つま先にも余裕がある」

そこまで確認していても、意外と見落とされやすいのが靴ひもです。

靴ひもを緩めたまま履いていたり、一度結んだ靴をそのまま脱ぎ履きしたりしていませんか?

靴ひもは、単に靴が脱げないようにするためだけのものではありません。

足と靴をどのようにフィットさせるかを調整する役割もあります。

靴ひもを緩めたままだとどうなる?

健康な成人20人を対象にした研究では、靴ひもの締め方を「快適に締めた状態」「緩めた状態」「完全に緩めた状態」で比較しています。

靴ひもを緩めるにつれて、参加者が感じるかかとの浮きや、靴の中で足が前後に動く感覚が増加しました。また、足底圧の一部にも変化がみられました。

つまり、

靴のサイズが合っていても、靴ひもの状態によって靴の中での足の収まり方は変わる

ということです。

ただし、これだけで「靴ひもが緩いとケガをする」とまでは言えません。

 

強く締めればいいわけでもありません

では、靴ひもはできるだけ強く締めればいいのでしょうか?

これも違います。

ランナーを対象とした研究では、靴ひもの通し方や締め方によって、足の甲にかかる圧力や快適性、安定感が変化することが報告されています。

足の甲が強く圧迫されて、

「痛い」
「しびれる」
「圧迫感が強い」

という状態で無理に履き続ける必要はありません。

重要なのは、

緩すぎず、締めすぎず、足と靴が無理なくフィットしていること

です。

靴を履くときは、かかとの位置も確認

靴ひもを締める前に確認したいのが、足が靴の中にどのように収まっているかです。

靴を履いたら、

① かかとを靴の後方に合わせる
② つま先に無理な圧迫がないか確認する
③ 足の甲に強い圧迫がない程度に靴ひもを調整する
④ 立ってフィット感を確認する
⑤ 実際に少し歩いて確認する

という流れで見ると分かりやすいでしょう。

ここでも「靴ひもを何Nの力で締める」など、一つの基準を全員に当てはめるわけではありません。

足の形、靴の形、使用目的などによって適したフィット感は変わります。

 

スポーツシューズでは特にフィットが重要?

ランニングでは、靴ひもの通し方や締め方によって足底圧、足の動き、足と靴の固定感などが変化することが報告されています。

ただし、

「この結び方なら速く走れる」
「この結び方ならケガを予防できる」

と単純には言えません。

ランニングシューズの構造とバイオメカニクスを調べたシステマティックレビューでも、靴ひもを含む一部のシューズ構造について、明確な科学的指針を作るには研究が不足しているとされています。

スポーツでは競技によって、

走る
止まる
切り返す
ジャンプする

など動作が違います。

そのため、普段履きとスポーツシューズで同じフィット感が最適とは限りません。

「ランナーズループ」をすればいい?

ランニングシューズには、一番上に余っているように見える穴が付いていることがあります。

これを利用して、かかと周囲のフィットを調整する結び方が使われることがあります。

ただし、

全員がこの結び方にすればいいわけではありません。

実験研究では、上部のアイレットまで使用する結び方によって、ランニング時の足と靴の固定感などが変化することが報告されていますが、個人に合わせて調整することが重要です。

通常の結び方で問題なくフィットしている人まで、必ず変更する必要はありません。

靴ひもだけでサイズの問題は解決できません

ここは特に重要です。

例えば、

靴が大きすぎるから靴ひもを強く締める
幅が合っていないのに靴ひもだけで固定する

という使い方では、根本的なサイズや形状の不一致を解決できないことがあります。

不適切なサイズの靴と足部痛・足部障害との関連を報告したレビューもあります。

靴ひもを見る前に、

足長
足幅・足囲
つま先の余裕
かかとの収まり
靴そのものの形

なども合わせて確認する必要があります。

インソールを入れる前にも靴を確認

インソールを使用するときも同じです。

インソールだけを足に合わせれば終わりではありません。

インソールを入れる靴そのものが大きすぎたり、形が足に合っていなかったり、靴ひもが適切に調整されていなかったりすれば、足と靴のフィットは変わります。

以前の記事でも紹介したように、靴の快適性は靴そのものの構造だけでなく、個人差や使用する状況など複数の要因が関係します。

だからこそ、

足 × 靴 × 使用目的

を一緒に考えることが大切です。

靴ひもまで含めて「靴のフィット」

靴選びというと、つい「26.0cm」などのサイズ表示だけに目が向きます。

しかし実際には、

靴のサイズ・形

足の形

靴ひもの調整

使用目的

まで含めてフィットを考える必要があります。

「緩い方が楽」でも、
「強く締めれば安定する」でもありません。

実際に履いて、かかとが大きく浮かないか、足が靴の中で必要以上に動かないか、甲に痛みや強い圧迫感がないかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

  1. Fiedler KE, et al. The effect of shoe lacing on plantar pressure distribution and in-shoe displacement of the foot in healthy participants. Gait Posture. 2011;33(3):396-400.
  2. Hagen M, Hennig EM. Effects of different shoe-lacing patterns on the biomechanics of running shoes. J Sports Sci. 2009;27(3):267-275.
  3. Hagen M, et al. Effects of different shoe-lacing patterns on dorsal pressure distribution during running and perceived comfort. Res Sports Med. 2010;18(3):176-187.
  4. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. J Foot Ankle Res. 2021.
 
 
2026年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

スクワットで膝がつま先より前に出たらダメ?フォームの「常識」を考える

スクワットをするとき、

「膝をつま先より前に出さないで」

と言われたことはありませんか?

トレーニングやリハビリの現場でも、以前からよく聞くフォームの注意点です。

では、本当に膝がつま先より少しでも前に出たら「間違ったスクワット」なのでしょうか?

結論からいうと、

「膝がつま先より前に出る=ダメ」と一律に決めることはできません。

スクワットでは膝だけでなく、足関節・股関節・体幹などが連動して動きます。

そのため、膝だけを見てフォームの良し悪しを判断するのではなく、目的や身体の特徴、症状、負荷などを合わせて考えることが大切です。

なぜ「膝をつま先より前に出すな」と言われるの?

膝が前方へ移動すると、条件によって膝関節にかかる力や膝伸展モーメントが大きくなることがあります。

スクワットでは、膝の屈曲角度が大きくなるにつれて膝蓋大腿関節などにかかる力も変化します。

そのため、

「膝への負荷を減らすために、膝を前に出さない」

という指導につながったと考えられます。

ただし、ここで重要なのが、

身体にかかる負荷は消えるのではなく、フォームによって配分が変わる

という点です。

 

膝を前に出さなければ安全?

2003年の研究では、バーベルスクワットで、

「膝をつま先より前に出せるスクワット」

と、

「板を置いて膝がつま先より前に出ないよう制限したスクワット」

を比較しています。

膝の前方移動を制限すると膝トルクは小さくなりました。

一方で、股関節トルクは大きく増加しました。

つまり、

膝を前に出さない
=身体全体への負荷が小さくなる

とは限りません。

膝への要求を減らそうとして、股関節や体幹をより使うフォームになることがあります。

だからこそ、「膝だけ」を見てフォームを決めるのは難しいのです。

人によって膝の位置が違うのはなぜ?

同じようにスクワットしても、全員がまったく同じフォームにはなりません。

例えば、

  • 大腿骨や下腿の長さ
  • 足関節の動き
  • 股関節の動き
  • スタンス幅
  • 足の向き
  • しゃがむ深さ
  • バーベルなどの負荷
  • スクワットを行う目的

などによって動作は変わります。

スクワット自体が、足関節・膝関節・股関節・体幹を含む複合的な動作です。

そのため、

「つま先から膝が何cm出たらダメ」

という一つの数字ですべての人を判断することはできません。

深くしゃがむと膝に悪い?

これもよく聞かれます。

スクワットでは膝の曲がりが大きくなるにつれて、膝関節にかかる力も変化します。

ただし、

「深くしゃがむ=膝を傷める」

と単純に考えることもできません。

スクワット深度と膝・脊椎への負荷を検討したレビューでは、適切な技術と段階的な負荷設定のもとで行う深いスクワットについて、「深いから危険」とする考えを支持していません。

一方で、膝に症状がある人のリハビリでは、膝の屈曲角度や外部負荷を調整することで、関節への要求を変えることがあります。

つまり、ここでも、

深い=良い
浅い=良い

ではありません。

 

じゃあ、スクワットでは何を見ればいい?

膝がつま先より前に出ているかだけではなく、

① 痛みが出ていないか
② 足裏が安定しているか
③ 足関節・膝・股関節がどう動いているか
④ 体幹を必要以上に倒していないか
⑤ 自分でコントロールできる範囲で動けているか
⑥ 重さや回数が目的に合っているか

などを確認します。

例えば、膝を前に出さないことだけを意識した結果、無理にお尻を後ろへ引き、上体を大きく倒しているのであれば、別の部位への要求が増えている可能性があります。

逆に膝に痛みがある場合などには、症状に合わせて一時的にしゃがむ深さや膝の動きを調整することもあります。

「正しいフォーム」は一つではありません

スクワットには、

自重スクワット
ゴブレットスクワット
フロントスクワット
バックスクワット
リハビリとして行うスクワット

など、さまざまな方法があります。

目的も、

筋力を高めたい
スポーツのためにトレーニングしたい
ケガから復帰したい
日常生活に必要な動きを練習したい

など人によって違います。

そのため、全員に同じフォームを当てはめるのではなく、**「誰が・何のために・どのくらいの負荷で行うのか」**を考える必要があります。

「膝がつま先より前に出たらダメ」だけで判断しない

スクワットで膝がつま先より前に出ること自体を、すぐに「悪いフォーム」と判断する必要はありません。

一方で、

「膝はどれだけ前に出しても問題ない」

という意味でもありません。

膝の位置を変えれば、膝・股関節・体幹などに求められる負荷の配分も変わります。

大切なのは、

膝がつま先より前に出たかどうかだけを見るのではなく、身体全体の動き・症状・負荷・目的を合わせて考えること。

スクワットは「一つの正しい形」に身体を合わせるのではなく、目的や身体の状態に応じてフォームや負荷を調整していきます。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

  1. Fry AC, Smith JC, Schilling BK. Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. J Strength Cond Res. 2003;17(4):629-633.
  2. Escamilla RF. Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Med Sci Sports Exerc. 2001;33(1):127-141.
  3. Hartmann H, Wirth K, Klusemann M. Analysis of the load on the knee joint and vertebral column with changes in squatting depth and weight load. Sports Med. 2013;43(10):993-1008.
  4. Schoenfeld BJ. Squatting kinematics and kinetics and their application to exercise performance. J Strength Cond Res. 2010;24(12):3497-3506.
2026年9月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

青あざがひどい=重症?打撲の内出血で知っておきたいこと

机の角に脚をぶつけた。
スポーツ中に相手の膝が太ももに入った。
転んで腕や膝を強く打った。

その直後はそれほどでもなかったのに、翌日になると青紫色の「あざ」が広がっていて、

「こんなに青くなって大丈夫?」

と心配になった経験はありませんか?

一般的に「打撲」と呼ばれるケガでは、皮膚の下にある血管や筋肉などの組織が損傷し、内出血や腫れ、痛みがみられることがあります。

ただし、青あざの見た目だけでケガの重症度を判断することはできません。

打撲すると、なぜ青あざができる?

身体を強くぶつけると、皮膚が切れていなくても、その下にある細い血管などが損傷することがあります。

そこから血液が周囲の組織に広がることで、皮膚の表面から青紫色などに見えることがあります。

これが一般的に「青あざ」と呼ばれているものです。

時間の経過とともに色の見え方が変化することもあります。

そのため、

「色が濃いから重症」
「色が薄いから軽症」

と、色だけで判断することはできません。

 

あざが少し広がってきたけど大丈夫?

受傷した場所と、後から見える内出血の範囲が完全に一致するとは限りません。

皮下に出た血液が周囲へ広がることで、時間が経ってから別の場所まで色が見えることもあります。

したがって、**「あざが広がった=必ずケガが悪化した」**とは限りません。

一方で、

  • 腫れが急激に強くなる
  • 痛みが強くなっている
  • 患部が強く張っている
  • しびれや感覚の異常がある
  • 手足を動かしにくくなっている

といった変化がある場合は、見た目の色だけで判断しないことが重要です。

「ぶつけただけ」でも骨折することはある?

あります。

「打撲」は身体をぶつけたときによく使われる言葉ですが、強い外力が加われば骨や筋肉などにも損傷が生じる可能性があります。

特に、

骨の限られた場所を押すと強く痛む
明らかな変形がある
関節を動かすことが難しい
体重をかけられない・手を十分使えない
強い腫れがある

などの場合には、「ただの打撲」と自己判断しない方がよいでしょう。

受傷した部位や状況によっては、骨折などの有無を確認するために画像検査が必要になることがあります。

打撲したら、とにかく冷やせばいい?

以前は急性外傷に対して「RICE」という言葉が広く使われてきました。

そのため、

「打撲したら、とにかく長時間冷やした方が早く治る」

と思っている方もいるかもしれません。

しかし現在、冷却については少し慎重に考える必要があります。

急性軟部組織損傷に対する冷却の研究では、痛みを軽減する目的では利用できる可能性がある一方、組織の修復を早めることを示す十分なヒトでの根拠はありません。

そのため、

「冷やせば早く治る」

とは言い切れません。

冷却する場合も、皮膚へ直接強い冷却物を当て続けたり、感覚がなくなるほど長時間冷やしたりするのは避けます。

痛みを和らげるための一つの方法として考えるのがよいでしょう。

打撲したところを揉んでもいい?

受傷直後に、痛みや腫れが強い場所を無理に揉む必要はありません。

「内出血を散らした方が早く治る」

と考えて強くマッサージする方もいますが、まずはどの組織が損傷している可能性があるのかを確認することが重要です。

特に強い痛みや腫れがある場合には、自己判断で強く押したり揉んだりせず、状態を確認しましょう。

 

打撲したときに確認したいポイント

青あざの大きさだけを見るのではなく、

どこをぶつけたのか
どのくらいの強さでぶつけたのか
どこを押すと痛いのか
腫れはどう変化しているか
関節を動かせるか
体重をかけられるか・手を使えるか
しびれや感覚異常はないか

などを確認します。

また、時間が経ってから症状がどのように変化しているかを見ることも大切です。

こんなときは医療機関での評価を考えましょう

打撲だと思っていても、

明らかな変形がある
強い痛みや腫れが続く・悪化している
手足を動かしにくい、体重をかけられない
しびれや感覚異常がある
皮膚の傷や出血を伴っている
強い外力が加わった

などの場合には、必要に応じて医療機関での検査を検討します。

特に強い外傷では、見た目だけで骨折や深部の組織損傷を否定することはできません。

青あざの見た目だけで判断しないことが大切

打撲すると、青紫色の内出血が目立つことがあります。

見た目が強いと不安になりますが、

「青あざが大きい=重症」
「歩ける=骨折していない」
「とにかく冷やせば早く治る」

とは限りません。

大切なのは、あざの色だけではなく、痛む場所・腫れ・動き・受傷状況・症状の変化などを合わせて確認することです。

池上7丁目整骨院では、外傷の状態を確認し、必要に応じて超音波画像観察装置も使用しています。

骨折などが疑われる場合には、医療機関での検査をご案内します。

▶ 骨折・捻挫などの外傷について詳しくはこちら

  1. Racinais S, et al. Cryotherapy for treating soft tissue injuries in sport medicine: a critical review. Br J Sports Med. 2024;58(20):1215-1223.
  2. Bleakley C, McDonough S, MacAuley D. The use of ice in the treatment of acute soft-tissue injury: a systematic review of randomized controlled trials. Am J Sports Med. 2004;32(1):251-261.
  3. Bayer ML, et al. Treatment of acute muscle injuries. Ugeskr Laeger. 2019. 冷却・圧迫・挙上について、患者の忍容性はあるものの組織修復を促進する根拠はないと整理しています。
2026年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

朝起きたら腰が痛い…寝方が悪い?朝の腰痛で考えたいこと

「朝起きたときだけ腰が痛い」

「寝ている間に腰を痛めたのかな?」

「マットレスが合っていない?」

このような経験がある方もいると思います。

朝に腰が痛いと、寝方や寝具が原因だと考えたくなります。

しかし、腰痛にはさまざまな要因が関係するため、

「朝に痛い=寝方が悪い」

と一つの原因に決めることはできません。

朝の腰痛は「寝相」のせい?

寝ている姿勢によって腰の感じ方が変わることはあります。

ただし、

「仰向けは腰に悪い」
「横向きなら腰痛にならない」
「この寝方が正解」

と、すべての人に共通する寝姿勢を決めることは難しいです。

慢性腰痛では睡眠の質の低下や睡眠障害が多く報告されており、睡眠状態の変化と腰痛の変化との関連を示したシステマティックレビューもあります。

さらに2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、睡眠問題がある人では、その後に慢性筋骨格系疼痛がみられるリスクが高い傾向が報告されています。一方で、痛みから睡眠への影響については不確実な部分も残っています。

つまり、腰痛と睡眠は「寝方だけ」の問題として考えない方がよいということです。

 

起きて動くと少し楽になるのは?

「起きた直後は腰が重いけれど、動いているうちに気にならなくなる」

という方もいます。

この場合も、

「筋肉が硬くなったから」
「血流が悪かったから」

など、一つの理由に決めつけないようにします。

重要なのは、朝だけなのか、日中も続くのか、動いたときにどう変化するのか、どのくらいの期間続いているのかなど、症状の経過を確認することです。

朝に腰が気になる場合、強い痛みがなければ、起床後にいきなり大きく腰を曲げたり捻ったりする必要はありません。

まず立つ、歩く、無理のない範囲で身体を動かすなど、その日の状態を確認しながら活動を始めるという考え方でよいでしょう。

慢性一次性腰痛についてWHOも、教育・セルフケアとともに、構造化された運動プログラムなどを選択肢として推奨しています。ただし、「この運動を朝○回やれば腰痛が治る」という意味ではありません。

硬いマットレスほど腰にいい?

これはよく聞く話です。

「腰が悪い人は硬い布団がいい」

と言われることがあります。

しかし、硬ければ硬いほど良いという根拠はありません。

慢性非特異的腰痛があり、寝ているときや起床時に腰痛のある313人を対象としたランダム化比較試験では、「硬いマットレス」と「中程度の硬さのマットレス」を比較しました。

90日後、中程度の硬さのマットレスを使用したグループの方が、ベッド上での痛みや起床時の痛み、機能障害について良好な結果を示しました。

ただし、これは、

「腰痛なら全員medium-firmを買えばいい」

という意味ではありません。

対象は特定の慢性非特異的腰痛患者であり、2003年の一つのRCTです。

体格、普段の寝姿勢、現在使っている寝具、本人の快適性なども違います。

したがって、

「硬いほど腰に良い」
「高価なマットレスなら腰痛が改善する」

とは考えない方がよいでしょう。

マットレスを買い替える前に確認したいこと

朝に腰が痛いからといって、すぐ寝具を買い替える必要があるとは限りません。

まず、

  • いつから症状があるか
  • 朝だけなのか、一日中あるのか
  • 起きて動くとどう変化するか
  • 夜中に痛みで目が覚めるか
  • 最近、運動量や仕事量が変わっていないか
  • 睡眠時間や睡眠の状態はどうか
  • 脚のしびれや力の入りにくさはないか

なども確認してみましょう。

寝具だけを見るのではなく、腰痛の経過や一日の活動、睡眠などを含めて考えることが重要です。

 

「朝にストレッチすればいい」でもありません

朝に身体を動かして楽になる人であれば、軽く動くことが選択肢になる場合があります。

しかし、

「朝腰が痛い人は、このストレッチをすれば大丈夫」

という共通の方法があるわけではありません。

腰を曲げると症状が増える人もいれば、反対に伸ばす動作で症状が気になる人もいます。

そのため、痛みを我慢して大きく伸ばしたり、「硬いから伸ばさなければ」と無理にストレッチしたりする必要はありません。

状態に合わせて運動の種類や負荷を調整します。

朝の腰痛、こんなときは寝具だけの問題と考えない

朝の腰痛が続いている場合には、単に「寝具が合わない」と自己判断しないことも大切です。

特に、

脚のしびれや力の入りにくさがある
排尿・排便の異常など神経症状がある
転倒や外傷後から強く痛む
発熱など全身症状を伴う
痛みが強くなっている、長く続いている

などの場合には、必要に応じて医療機関での評価を受けます。

「正しい寝方」を探し続けなくてもいい

朝の腰痛があると、

「寝方が悪かったのかな」

「もっと硬いマットレスにした方がいいかな」

と考えてしまいます。

しかし、腰痛は寝姿勢や寝具だけで決まるものではありません。

睡眠、日中の活動、運動量、身体の状態など、さまざまな要素を一緒に考えることが大切です。慢性一次性腰痛についても、WHOは一つの治療だけに頼るのではなく、個人の身体的・心理的・社会的要因を考慮した包括的な対応を推奨しています。

「朝腰が痛いから、とりあえずマットレスを買い替える」

その前に、まず現在の症状や生活を一度整理してみましょう。

▶ 腰の痛み・ぎっくり腰・坐骨神経痛についてはこちら

  1. Runge N, et al. The bidirectional relationship between sleep problems and chronic musculoskeletal pain: a systematic review with meta-analysis. Pain. 2024;165(11):2455-2467.
  2. Ho KKN, et al. Are Changes in Sleep Quality/Quantity or Baseline Sleep Parameters Related to Changes in Clinical Outcomes in Patients With Nonspecific Chronic Low Back Pain?: A Systematic Review. Clin J Pain. 2022.
  3. Kovacs FM, et al. Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial. Lancet. 2003;362:1599-1604.
  4. World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
2026年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴は大きめを選んだ方がいい?足に合う靴のサイズと「捨て寸」の考え方

靴を選ぶとき、

「つま先が当たらないように、大きめを選んでいます」

「子どもはすぐ足が大きくなるから、少し大きい靴を買っています」

という方も多いのではないでしょうか。

確かに、靴の中には足の指が動くための余裕が必要です。

しかし、

「大きめの靴=足に合っている」

とは限りません。

靴を選ぶときには、表示されているサイズだけではなく、足の長さ・幅・靴の形・かかとの収まり方などを合わせて確認することが大切です。

足のサイズが25cmなら、25cmの靴でいい?

ここで知っておきたいのが、

「足の長さ」と「靴のサイズ表示」は同じものとは限らない

ということです。

同じサイズ表示でも、メーカーやモデルによって靴内部の長さ・幅・形状は異なります。

また、人の足も長さだけではありません。

足幅や足囲、指の形、左右差などがあります。

そのため、

「いつも26cmだから今回も26cm」

だけで決めると、同じサイズでもフィット感が変わることがあります。

靴のフィッティングについてのレビューでも、足の形には個人差があり、適切なフィットは個別に考える必要性が指摘されています。

「捨て寸」って何?

靴を履いたときに、つま先と靴の先端との間に設ける余裕を一般に「捨て寸」と呼びます。

歩くときには足や指が靴の中で動くため、つま先が靴の先端に強く当たらないためのスペースが必要になります。

ただし、

「捨て寸は必ず○mm」

と、すべての人・すべての靴に共通する数字で決めるのは適切ではありません。

例えば、子どもの靴を調べた研究では5~15mmを適切な長さの余裕として評価したものや、10mmを用いた研究があります。

一方、2025年の小児靴に関するレビューでは、つま先の余裕を含めたフィッティング基準にはばらつきがあり、高品質な研究による統一された基準が不足していることが指摘されています。

ですから、数字だけでなく、

つま先が当たっていないか、指が窮屈ではないか、かかとが大きく浮かないか

などを実際に履いて確認することが重要です。

 

大きすぎる靴なら安心?

では、つま先に余裕があればあるほど良いのでしょうか。

これも違います。

大きすぎる靴では、足と靴の形が合わず、靴の中で足が必要以上に動いたり、かかとの収まりが悪くなったりすることがあります。

つまり、

「小さい靴を避けるために、とりあえず大きいサイズを選ぶ」

のではなく、足全体と靴のフィットを確認する必要があります。

実際、靴のサイズや幅が足に合っていない人は珍しくありません。2018年のレビューでは、対象となった研究で63~72%の人が足の長さまたは幅に適合しない靴を履いており、不適切なフィットと足部痛・胼胝・小趾変形などとの関連が報告されています。

ただし、これは「合わない靴を履けば必ず足のトラブルが起こる」という意味ではありません。

「幅広だから大きいサイズ」は注意

これも靴選びでよくあります。

「横がきついから、0.5cm大きいサイズにした」

という選び方です。

しかし、

足幅の問題を靴の長さだけで解決しようとすると、今度は前後方向が大きくなりすぎる

可能性があります。

足の長さだけではなく、

幅や靴型(ラスト)が自分の足に合っているか

も確認します。

研究でも、靴の長さだけでなく「幅が合っていない」という問題が多く報告されています。

子どもは成長するから、大きめでいい?

子どもの靴では特に注意したいところです。

「すぐ大きくなるから」

と、成長を見越してかなり大きな靴を選びたくなることがあります。

しかし、子どもの靴でも現在の足に適切にフィットしていることを基本に考えます。

8~12歳の子どもを対象に、適合サイズ・1サイズ大きい靴・1サイズ小さい靴を比較した研究では、小さい靴で歩行時の足部運動が一部制限され、適合した靴の方が全体的な快適性も高く評価されました。

また、子どもの靴については「大きすぎればどうなる」「何mmなら最適」といった部分には、まだ十分な質のエビデンスがありません。

そのため、

「成長するから大きめ」ではなく、現在の足に合っているかを確認し、成長に合わせて定期的に見直す

という考え方が現実的です。

 

靴を履いたら、ここを確認

サイズ表記だけではなく、実際に履いて確認しましょう。

例えば、

  • つま先が靴の先端に強く当たっていない
  • 指が押しつぶされるような窮屈さがない
  • 足幅が強く圧迫されていない
  • かかとの収まりが悪くない
  • 歩いたときに足が靴の中で必要以上に動かない
  • 痛みや強い圧迫感がない

といったところを確認します。

「○cmだから合っている」ではなく、実際のフィット感まで確認することがポイントです。

靴の快適性に関するレビューでも、快適性は靴の構造だけではなく、使用目的や個人の解剖学的・生理学的特徴など複数の要因に影響されるとされています。

スポーツシューズも同じ?

基本的な考え方は同じですが、靴に求められる機能は使用目的によって変わります。

普段履き、ランニング、サッカー、バスケットボールなどでは、動き方や靴の構造も違います。

そのため、

普段履きで快適だったサイズやモデルが、そのまま競技用シューズでも最適とは限りません。

サイズ表示だけでなく、

「何をするための靴なのか」

まで含めて選ぶことが大切です。

インソールを考える前に、まず靴を確認

足に違和感があると、

「インソールを入れた方がいいのかな?」

と考えることもあると思います。

しかし、インソールを考える前に確認したいのが靴そのもののフィットです。

靴が足に合っていない状態では、インソールだけを変えても、靴との組み合わせによっては適切に使用できない場合があります。

当院でもインソールだけを見るのではなく、

足 × 靴 × 使用目的

を確認しながら考えています。

「高いインソールを入れれば大丈夫」ではなく、まず自分の足と靴が合っているかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

参考文献:

  1. Buldt AK, Menz HB. Incorrectly fitted footwear, foot pain and foot disorders: a systematic search and narrative review. J Foot Ankle Res. 2018;11:43.
  2. Morrison SC, et al. Guidelines for Recommended Footwear for Healthy Children and Adolescents: A Rapid Scoping Review. 2025.
  3. González-Elena ML, et al. Footwear fit in schoolchildren of southern Spain: a population study. BMC Musculoskelet Disord. 2019.
  4. Arnold JB, et al. Children’s school footwear: The impact of fit on foot function, comfort and jump performance in children aged 8 to 12 years. Gait Posture. 2021.
  5. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. 2021.
2026年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

足の小指をぶつけた!歩けても骨折している?足趾骨折で確認したいポイント

「家具の角に足の小指をぶつけた」

「かなり腫れたけど歩けるから、骨折ではないと思う」

足の指をぶつけた経験がある方は多いと思います。

足趾の骨折は、指先を強くぶつける、重いものを落とすなどの外傷で起こります。特に第2~5趾の骨折では、強い痛みがあっても歩ける場合があります。

そのため、

「歩ける=骨折していない」

とは判断できません。

足の指をぶつけたら、何を確認する?

まず確認したいのは、痛みだけではありません。

・どこを押すと痛いのか
・腫れや皮下出血があるか
・指の向きや形に左右差がないか
・爪の向きが隣の指と比べて不自然ではないか
・傷や出血がないか
・しびれや感覚の異常がないか

などを確認します。

骨折がずれている場合には、指の変形がみられることがあります。また、爪の向きが隣の指や反対側と異なる場合には、骨折に伴う回旋変形を疑う手掛かりになります。

ただし、腫れや内出血の程度だけで、打撲か骨折かを正確に区別することはできません。

 

歩けるなら骨折ではない?

「骨折したら歩けないはず」

と思われることがあります。

しかし、足の小指などの骨折では、歩行できることがあります。

足首や中足部の外傷では、歩行能力などを利用してX線撮影の必要性を判断するOttawa Ankle/Foot Rulesがあります。

ところが、このルールは足の指そのものを評価するルールではありません。

ACR(米国放射線学会)の画像検査基準でも、Ottawa Rulesが陰性でも、足趾などルールの対象外の部位に外傷が疑われる場合には、X線撮影が適切とされています。

ですから、

「4歩歩けたから骨折ではない」

という使い方はできません。

エコーで骨折は分かる?

超音波画像観察装置(エコー)では、骨の表面や周囲の軟部組織などを観察することができます。

骨表面の連続性に異常が疑われる所見がみられることもあります。

しかし、エコーだけですべての骨折を否定できるわけではありません。

ACRの急性足部外傷に関する基準でも、骨折を疑う場合の標準的な初期画像検査はX線であり、超音波検査は一般的な第一選択とはされていません。

そのため当院でも、エコー所見や触診、受傷状況などから骨折が疑われ、画像診断が必要と考えられる場合には、医療機関での検査をおすすめします。

骨折だったら、どうやって固定する?

第2~5趾の安定した転位のない骨折では、隣の指と一緒に固定するバディテーピングと、硬い靴底の靴などを使用する保存的な管理が一般的です。

ただし、

「小指の骨折=全部バディテーピング」

ではありません。

変形や回旋がある骨折、関節面に及ぶ転位骨折、開放骨折、強い圧挫損傷、神経・血流の異常などでは、専門的な評価が必要になります。

また、親指は歩行時の荷重や蹴り出しに重要なため、第2~5趾とは扱いが異なります。

 

こんな場合は「とりあえず様子を見る」に注意

足の指をぶつけたあと、

指が明らかに曲がっている
爪の向きがおかしい
傷があり骨折が疑われる
しびれや感覚の異常がある
強い圧挫を受けた
痛みや腫れが続いている

といった場合には、自己判断で放置せず、状態を確認することが大切です。開放骨折、回旋変形、神経血管障害などは専門医への紹介が必要となる所見です。

特に子どもでは、爪の周囲の損傷に骨折が伴っている場合もあります。爪が浮いている、爪の付け根から出血しているなどの場合も注意が必要です。

「歩けるか」だけでは判断しない

足の指をぶつけたときに大切なのは、

歩けるかどうかだけで判断しないことです。

打撲でも強く腫れることがありますし、骨折していても歩ける場合があります。

受傷した状況、圧痛の場所、腫れ、皮下出血、指の向き、傷の有無などを合わせて確認し、骨折が疑われる場合には必要に応じて医療機関で画像検査を受けます。

「ただぶつけただけ」と思っていても、痛みや腫れが強い場合や状態が気になる場合には、一度確認しておくとよいでしょう。

▶ 骨折・捻挫などの外傷についてはこちら

  1. Bica D, Sprouse RA, Armen J. Common Foot Fractures. American Family Physician. 2024;109(2):126-133.
  2. American College of Radiology. ACR Appropriateness Criteria: Acute Trauma to the Foot.
  3. Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Toe Fractures – Emergency Department.
2026年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

「筋トレは毎日やった方がいい?筋肉を休ませる意味とトレーニング頻度」

「筋トレは毎日やった方が早く筋肉がつく?」

「スクワットは毎日やってもいい?」

「筋肉痛が残っていてもトレーニングして大丈夫?」

運動やリハビリを始めると、このような疑問を持つ方も多いと思います。

筋力をつけるためには、ある程度継続して筋肉に負荷をかける必要があります。

しかし、

「毎日やればやるほど効果が高くなる」

とは限りません。

トレーニングでは「何日やったか」だけではなく、負荷・回数・セット数・週間の運動量・目的・回復状態などを合わせて考えることが大切です。

筋トレは週に何回やればいい?

実は、「週○回が絶対に正解」と単純には決められません。

2026年に発表されたメタ回帰分析では、筋力や筋肥大への効果にはトレーニング頻度だけでなく、1週間に行うセット数などのトレーニング量が関係することが示されています。

過去のメタ解析でも、1週間のトレーニング量を同程度にすると、頻度を増やしただけでは筋肥大に大きな差がみられないことが報告されています。

筋力についても同様で、頻度が高い群ほど筋力向上が大きい傾向はみられるものの、トレーニング量をそろえた研究では頻度そのものによる明確な差は確認されませんでした。

つまり、

「週何回か」だけを見るより、「1週間でどのくらいのトレーニングを行っているか」まで考える必要があります。

 

じゃあ毎日筋トレしてもいい?

ここも「毎日はダメ」とは言い切れません。

例えば、

月曜日:下半身
火曜日:上半身
水曜日:軽い運動

のように負荷を分ける方法もあります。

同じ部位でも、毎回同じ強度・同じ量で行うとは限りません。

そのため、

「毎日筋トレ=やりすぎ」

とは一概に言えません。

反対に、同じ筋肉へ高い負荷をかけるトレーニングを毎日繰り返す必要があるとも言えません。

2026年のACSM Position Standでも、筋力・筋肥大・パワーなど、目的によって負荷やトレーニング量を変える考え方が示されています。

「筋肉は48時間休ませる」は絶対?

「筋トレをしたら48~72時間休ませる」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

これは分かりやすい目安として使われることがありますが、

すべての人・すべての運動に共通する絶対的なルールではありません。

回復に必要な時間は、

・トレーニングの強度
・セット数や総運動量
・運動経験
・鍛えた部位
・年齢
・睡眠や栄養などの状態

などによって変わります。

「48時間経ったから必ず回復している」「48時間経っていないから絶対に運動してはいけない」と時間だけで判断しない方がよいでしょう。

筋肉痛があれば、筋トレは成功?

これもよくある誤解です。

筋トレの翌日に筋肉痛があると、

「昨日は効いた!」

と思うことがあります。

しかし、

筋肉痛の強さ=トレーニング効果の大きさ

と単純に考えることはできません。

また、筋肉痛を起こすこと自体をトレーニングの目的にする必要もありません。

トレーニングでは、

「どれだけ痛くなったか」

ではなく、

以前より扱える負荷が変わったか、回数が増えたか、動作が安定したか

なども確認していきます。

毎回限界までやった方がいい?

筋肉をつけたいなら、

「毎セット、もう1回もできなくなるまで追い込まないと意味がない」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、これも必須ではありません。

筋肥大について調べたシステマティックレビュー・メタ解析では、完全に動作できなくなるまで行うトレーニングが、そうでないトレーニングより明確に優れているとは確認されませんでした。

つまり、

「毎回限界まで追い込む=必ず効果が高い」

ではありません。

トレーニング経験や目的に応じて、負荷や回数を調整することが重要です。

 

 

 

リハビリの運動も休んだ方がいい?

ここは筋力トレーニングと分けて考える必要があります。

リハビリでは、

・関節を動かす運動
・軽い筋収縮
・バランストレーニング
・高負荷の筋力トレーニング
・ジャンプや切り返し

など、目的も身体への負荷も大きく異なります。

そのため、

「筋トレは○日休むから、リハビリも同じ」

とは限りません。

反対に、

「リハビリだから毎日たくさんやればいい」

とも限りません。

ケガの種類、回復段階、運動内容、運動後の反応などを確認しながら頻度を決める必要があります。

大切なのは「毎日やること」より「続けられること」

2026年のACSM Position Standが強調しているポイントの一つが、複雑で完璧なプログラムを追求するより、継続してレジスタンストレーニングを行うことの重要性です。

筋トレでは、

毎日やらなければ意味がない

と考える必要はありません。

逆に、

週1回なら意味がない

とも言えません。

目的や現在の体力に合わせて負荷と量を設定し、身体の反応を確認しながら続けていくことが大切です。

特に運動を始めたばかりの方は、最初から頻度や負荷を上げすぎるより、無理なく継続できるところから始めてみましょう。


▶ 運動・トレーニングについてはこちら

ここは、HPにある**「トレーニング」ページへ内部リンク**でいいです。

参考文献

  1. American College of Sports Medicine. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2026.
  2. Pelland JC, et al. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Med. 2026;56:481-505.
  3. Schoenfeld BJ, Grgic J, Krieger J. How many times per week should a muscle be trained to maximize muscle hypertrophy? J Sports Sci. 2019;37:1286-1295.
  4. Grgic J, et al. Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2018;48:1207-1220.
  5. Refalo MC, et al. Influence of Resistance Training Proximity-to-Failure on Skeletal Muscle Hypertrophy: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Med. 2023;53:649-665.
2026年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

肩が痛いときは動かさない方がいい?「安静」と「運動」の考え方

肩が痛くなると、

「なるべく動かさない方がいいのかな?」
「運動すると悪化する?」
「痛くても動かした方がいい?」

と迷うことがあります。

肩の痛みにはさまざまな原因があるため、すべてを同じように扱うことはできません。

ただし、成人のローテーターカフ(腱板)に関連する肩の痛みでは、現在のガイドラインは単に安静にするだけではなく、状態に合わせた活動調整と運動を重要な選択肢として位置づけています。

今回は、肩が痛いときの「休ませる」と「動かす」をどう考えればよいのか紹介します。

肩が痛い=動かしてはいけない?

必ずしもそうではありません。

痛みが強く出る動作を何度も繰り返したり、急に大きな負荷をかけたりすることは避ける必要があります。

一方で、

「痛みがあるから、できるだけ肩を使わない」

と一律に考える必要もありません。

2025年の臨床ガイドラインでは、ローテーターカフ腱障害に対する初期治療として、患者ごとの状態に合わせた教育、活動量の調整、自己管理に加えて、運動療法が推奨されています。

大切なのは、

「動かすか、動かさないか」の二択ではなく、現在の状態に合わせて負荷を調整することです。

 

そもそもローテーターカフ(腱板)とは?

肩の周囲には、

・棘上筋
・棘下筋
・小円筋
・肩甲下筋

という4つの筋肉があります。

これらの腱が肩関節の周囲を取り囲むように存在し、ローテーターカフ(腱板)と呼ばれます。

腕を上げたり回したりするときだけでなく、肩関節を安定させながら動かすためにも関わっています。

ただし、肩が痛いからといって、必ず腱板に問題があるとは限りません。

肩関節周囲炎、関節の問題、外傷など、肩の痛みにはさまざまな状態が含まれます。

どんな運動をすればいいの?

ここも「この運動をすれば大丈夫」と一律には決められません。

2025年のガイドラインでは、モーターコントロール運動や抵抗運動などを含む、積極的な運動プログラムが推奨されています。

一方、2024年のシステマティックレビューでは、モーターコントロール運動は一般的な運動と比べて機能障害をわずかに改善する可能性がありますが、特定の運動方法や「高負荷の方が優れている」といった点については、まだ不確実性が残っています。

つまり、

「肩甲骨の運動だけ」
「インナーマッスルだけ」
「重い負荷をかければいい」

と決めつけるのではなく、その人の動きや症状、必要な活動に合わせて調整することが重要です。

痛みがある運動は全部ダメ?

これも単純ではありません。

どの程度の症状まで許容するかは、その人の状態や運動内容によって変わります。

そのため、

「痛くても我慢してやる」

という考え方も、

「少しでも痛ければ絶対に動かさない」

という考え方も、一律には勧められません。

運動中だけではなく、運動後に症状が大きく悪化していないか、日常生活への影響が増えていないかなども含めて負荷を調整していきます。

 

マッサージだけではダメなの?

肩が痛いと、揉んだりほぐしたりしてほしいと考える方も多いと思います。

徒手療法については、2025年のガイドラインでも、短期的な痛みの軽減を目的として運動などと組み合わせる選択肢にはなっています。

しかし、ローテーターカフ腱障害では運動が非手術的な管理の中心的な要素として位置づけられています。

そのため、

「ほぐして終わり」ではなく、その後に肩をどのように使えるようにしていくか

まで考えることが大切です。

こんな肩の痛みは一度確認を

肩の痛みのすべてが運動で対応できるわけではありません。

特に、

・転倒や衝突など、明らかなケガのあとから強く痛む
・腕を上げることが難しい
・明らかな筋力低下がある
・しびれなど神経症状を伴う
・症状が続き、改善傾向がみられない

といった場合には、状態を確認することが重要です。

必要に応じて医療機関で画像検査などを検討する場合もあります。

「安静」か「運動」かではなく、負荷を調整する

肩が痛いときに大切なのは、

「とにかく安静」でも「痛くても運動」でもありません。

痛みが出る動作や負荷を確認しながら、必要に応じて活動量を調整し、徐々に肩を使える状態を目指します。

肩の状態や必要な動作は、仕事・家事・スポーツなどによっても異なります。

そのため、自分の状態に合わせて進めることが重要です。

▶ 肩の痛み・五十肩・野球肩・肩関節脱臼についてはこちら

参考文献

  1. Desmeules F, et al. Rotator Cuff Tendinopathy Diagnosis, Nonsurgical Medical Care, and Rehabilitation: A Clinical Practice Guideline. J Orthop Sports Phys Ther. 2025;55(4):235-274.
  2. Powell JK, et al. The Efficacy of Exercise Therapy for Rotator Cuff–Related Shoulder Pain According to the FITT Principle: A Systematic Review With Meta-analyses. J Orthop Sports Phys Ther. 2024;54(8):499-512.
2026年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院