ブログ

ブログ一覧

運動前のウォーミングアップ、ストレッチだけでいい?準備運動の考え方

運動やスポーツをする前に、

「とりあえずストレッチをしておこう」

という人は多いのではないでしょうか。

もちろん、ストレッチも準備の一つです。

しかし、ウォーミングアップ=ストレッチだけではありません。

これから行う運動に向けて、軽い運動から始め、身体を動かしながら徐々に運動強度や動作を近づけていくこともウォーミングアップの重要な要素です。

ウォーミングアップは何のためにする?

ウォーミングアップについて調べたシステマティックレビューでは、ストレッチ以外の活動を含むウォームアップを行った研究の多くで、その後の身体パフォーマンスに良い変化が報告されています。

ただし、すべての競技・すべての人に同じ方法が適しているという意味ではありません。PubMed

また、筋温の上昇について検討した近年のシステマティックレビュー・メタ解析では、筋温上昇は最大筋力そのものよりも、素早く力を発揮する能力などに有利に働く可能性が示されています。PubMed

そのため、

「何分やればOK」
「この種目をやればOK」

と一律に決めるのではなく、その日の運動内容に合わせて考えることが大切です。

 

ウォーミングアップ=ストレッチではありません

例えば、走ったり、ジャンプしたり、切り返したりするスポーツなら、

① 軽く身体を動かす
↓
② 関節を動かしながら動作範囲を確認する
↓
③ 動的な運動を取り入れる
↓
④ これから行う競技に近い動きを徐々に行う

というように、段階的に準備していく方法があります。

いきなり全力ダッシュや最大重量に入るのではなく、これから行う動作に徐々に近づけていくイメージです。

競技によって必要な動きは違います。

ランニングと野球では違いますし、サッカーと筋力トレーニングでもウォーミングアップの内容は変わります。

運動前の静的ストレッチはダメ?

ここは誤解されやすいところです。

「運動前に静的ストレッチをするとパフォーマンスが落ちる」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

静的ストレッチとは、筋肉を伸ばした状態で一定時間保持する方法です。

研究では、長時間の静的ストレッチを単独で行った直後には、筋力やパワーなどが一時的に低下する場合があることが報告されています。PubMed

一方で、短時間の静的ストレッチをウォーミングアップ全体の一部として行う場合まで、

「運動前は絶対にやってはいけない」

と考える必要はありません。

大切なのは、静的ストレッチだけでウォーミングアップを終わらせるのではなく、その後に動的な運動や競技に近い動作を組み合わせることです。

▶ ストレッチは長くやるほどいい?ストレッチの考え方についてはこちら

 

動的ストレッチなら必ず良い?

動的ストレッチは、身体を動かしながら筋肉や関節を動かしていく方法です。

運動前の準備として使いやすく、競技動作につなげやすい方法ですが、

「静的ストレッチ=悪い、動的ストレッチ=良い」

と単純に分ける必要はありません。

競技、目的、本人の身体の状態、その後に行う運動によって使い分けます。

実際、2024年に発表された体操競技を対象とするシステマティックレビュー・メタ解析でも、ウォームアップ方法による急性のパフォーマンスへの影響は、評価する能力や方法によって異なっています。PubMed

ケガ予防のためにウォーミングアップをすればいい?

これも少し整理が必要です。

単に、

「運動前に身体を温めればケガを防げる」

と断定することはできません。

一方、筋力・バランス・着地・アジリティなどを組み合わせた構造化された神経筋ウォームアッププログラムについては、特定のスポーツ・集団で下肢外傷の発生を減らした研究があります。PubMed

バスケットボール選手を対象としたレビューでも、複数の要素を組み合わせた神経筋ウォームアップについて、下肢外傷全体に対するエビデンスが報告されています。ただし、個々の運動のどれが効果を生んだのかまでは分けられません。PubMed

つまり、

ストレッチを1種類やればケガを予防できる

という話ではありません。

ウォーミングアップは、普段のトレーニング、身体の状態、運動量などと合わせて考える必要があります。

どのくらいやればいい?

「ウォーミングアップは10分?」

「20分やった方がいい?」

と時間を決めたくなりますが、全員に共通する時間を決めるのは難しいところです。

例えば、

軽いジョギングをする人
高重量のスクワットをする人
野球で投球する人
サッカーの試合に出る人

では、その後に求められる動作が違います。

時間だけではなく、

身体が動きやすくなっているか
これから行う動作を無理なく行えるか
徐々に運動強度を上げられているか

なども確認してみましょう。

「とりあえずストレッチ」から一歩進めてみよう

運動前の準備は、

ストレッチをしたか・していないか

だけで考えるものではありません。

軽い運動から始めて、身体を動かし、これから行う競技やトレーニングに近い動作へ徐々に移行していく。

その中で必要に応じて静的ストレッチや動的ストレッチを取り入れる。

こう考えると分かりやすいでしょう。

また、痛みがある状態で無理にウォーミングアップを続けたり、「動かせば治る」と判断したりするのは避けましょう。外傷後や痛みが強い場合などは、運動を始める前に状態を確認することが大切です。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

参考文献

  1. Fradkin AJ, Zazryn TR, Smoliga JM. Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis. J Strength Cond Res. 2010;24(1):140-148.
    PubMedで確認する

  2. Behm DG, Chaouachi A. A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance. Eur J Appl Physiol. 2011;111(11):2633-2651.
    PubMedで確認する

  3. Herman K, et al. The effectiveness of neuromuscular warm-up strategies, that require no additional equipment, for preventing lower limb injuries during sports participation: a systematic review. BMC Med. 2012;10:75.
    PubMedで確認する

  4. Davis A, et al. The Effectiveness of Neuromuscular Warmups for Lower Extremity Injury Prevention in Basketball: A Systematic Review. Sports Med Open. 2021.
    PubMedで確認する

2026年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

肩こりは姿勢が悪いから?「猫背=肩こり」とは限らない理由

「肩がこるのは姿勢が悪いから」

「猫背だから肩こりになる」

こんな話を聞いたことはありませんか?

デスクワークやスマートフォンを使っていると、頭が前に出たり、背中が丸くなったりすることがあります。

そのため、

「姿勢をまっすぐに直せば肩こりもなくなる」

と考えたくなります。

しかし、実際の首や肩まわりの症状は、姿勢だけで説明できるほど単純ではありません。

猫背と肩こりは関係ないの?

「姿勢はまったく関係ありません」というわけでもありません。

前方頭位(頭が前に出た姿勢)と頸部痛との関係を調べたシステマティックレビューでは、成人では頸部痛がある人の方が前方頭位の傾向がみられ、痛みや機能障害との関連も報告されています。一方、年齢による違いもみられています。

ここで重要なのは、

「関連がある」=「その姿勢が原因」ではない

ということです。

痛みがあるため姿勢が変わっている可能性もありますし、仕事の内容、作業時間、身体活動、筋肉の緊張など、ほかの要因が一緒に関係している可能性もあります。

 

「正しい姿勢」をずっと続ければいい?

では、

「背筋を伸ばして、胸を張って、肩甲骨を寄せた姿勢」

を一日中続ければよいのでしょうか。

これも単純ではありません。

オフィスワーカーの頸部痛について調べたシステマティックレビューでは、職場環境への満足度、作業の変化の少なさ、自覚的な筋緊張など、複数の要因が頸部痛の発生と関連していました。一方、多くの身体的要因についてはエビデンスが限定的または一貫していませんでした。

つまり、

「この姿勢なら絶対に肩がこらない」という一つの正解を決めるのは難しい

ということです。

無理に胸を張り続けたり、肩甲骨を寄せ続けたりする必要もありません。

同じ姿勢が長く続いていませんか?

姿勢の「形」だけでなく、

その姿勢をどのくらい続けているか

にも目を向けてみましょう。

2020年の縦断研究では、オフィスワーカーの頸部痛発生について、座っている時間、仕事上のストレスや負担など複数の要因との関連が報告されています。

ただし、座位時間と頸部痛の関連についても研究結果は一貫しておらず、2023年のメタ解析ではオフィスワーカーに限定すると統計学的に明確な関連には達していませんでした。

そのため、

「30分座ったら必ず立つ」

など、全員に共通する時間を決める必要はありません。

長時間作業しているときには、ときどき姿勢を変えたり、立ったり、身体を動かしたりすることを考えてみてもよいでしょう。

▶ デスクワークによる身体の不調についてはこちら

肩こりを見るときは「姿勢以外」も確認

首や肩の症状があるときには、

姿勢だけをチェックするのではなく、

仕事やパソコン作業の時間
同じ作業を続けている時間
身体活動や運動習慣
筋肉の緊張感
仕事内容や作業環境
睡眠や日々の体調

なども含めて考えていきます。

頸部痛は一つの要因だけで説明するのではなく、複数の身体的・仕事上・心理社会的要因を考慮する必要があります。

 

運動はした方がいい?

慢性的な首の痛みがあるオフィスワーカーでは、運動が選択肢の一つになります。

2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、首・肩・肩甲帯周囲などの筋力トレーニングによって、痛みや機能障害が軽減する可能性が示されています。

ただし、含まれた8件のRCTはいずれもバイアスリスクが高く、エビデンスの確実性は低いと評価されています。

そのため、

「この運動をすれば肩こりが治る」

と考えるのではなく、状態に合わせて運動量や内容を調整していくことが大切です。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

姿勢だけを悪者にしない

鏡を見て、

「猫背だから肩がこるんだ」

と決めつける必要はありません。

一方で、姿勢をまったく気にしなくていいということでもありません。

大切なのは、

姿勢の形だけを見るのではなく、どのくらい同じ姿勢を続けているか、身体を動かしているか、仕事や生活でどのような負担がかかっているかまで含めて考えること。

「良い姿勢をずっと維持する」ことを目標にするより、

無理なく姿勢を変えながら、身体を動かせる環境をつくる

という考え方の方が現実的です。

また、強い痛み、腕や手のしびれ・筋力低下、外傷後の症状、発熱などを伴う場合や、症状が強くなっている場合には、単なる「肩こり」と自己判断せず、医療機関での評価を検討しましょう。

 

 

  1. Mahmoud NF, et al. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019.
  2. Jun D, et al. Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis. Int Arch Occup Environ Health. 2017;90:373–410.
  3. Johnston V, et al. A Longitudinal Evaluation of Risk Factors and Interactions for the Development of Nonspecific Neck Pain in Office Workers in Two Cultures. 2020.
  4. Jones LB, et al. The influence of exercise on pain, disability and quality of life in office workers with chronic neck pain: A systematic review and meta-analysis. Appl Ergon. 2024;117:104216.

 

2026年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

転んで手をついたあと手首が痛い…ただの捻挫?骨折を疑うポイント

転んだとき、とっさに手をついてしまうことがあります。

そのあと手首が痛くても、

「少し動かせるから骨折ではないだろう」
「ものを持てるから大丈夫」
「それほど腫れていないから捻挫かな」

と思って、そのまま様子を見ることもあるかもしれません。

しかし、手首が動くことや、見た目の腫れが少ないことだけでは、骨折を否定できません。

転倒して手をついたあとに痛みが続く場合には、痛む場所や腫れ、動かしたときの痛みなどを確認することが大切です。

転んで手をつくと、どこを骨折する?

転倒時に手をつく外傷は、橈骨・尺骨骨折の代表的な受傷機転です。特に成人の橈骨遠位端骨折は、手をついた転倒によって生じることが多い骨折です。

また、親指側の手首にある舟状骨にも注意が必要です。

舟状骨骨折も、手をついた際に生じることがあります。

つまり「手首をひねっただけだと思った」というケースでも、

橈骨遠位端骨折や舟状骨骨折などが隠れている可能性があります。

 

「手首が動く=骨折していない」ではありません

骨折というと、

「全く動かせない」
「ものすごく腫れる」
「明らかに変形する」

というイメージがあるかもしれません。

もちろん、そのような症状を伴う骨折もあります。

しかし橈骨遠位端骨折では、腫れや変形が必ずみられるわけではありません。 手首を反らしたときの痛み、腫れ、変形、前腕を回したときの痛みなどが骨折を疑う所見として報告されています。

したがって、

「動かせたから骨折ではない」と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。

痛む場所も重要です

手首全体が痛いのか、それとも特定の場所が強く痛いのかも確認します。

特に注意したい場所の一つが、親指側の手首です。

ここには舟状骨があります。

舟状骨骨折では、転倒直後より痛みが軽くなり、受診が遅れるケースもあります。

そのため、

「昨日より少し楽だから大丈夫」

だけで判断するのではなく、手をついたという受傷機転と、どこに圧痛が残っているかを合わせて考えることが重要です。

レントゲンで異常がなければ大丈夫?

ここも注意が必要です。

急性の手・手関節外傷では、まずX線検査が一般的です。ACRでは、初期画像として対象部位のX線撮影を「Usually Appropriate」としています。

しかし、

最初のX線で明らかな骨折が確認できなくても、骨折を完全には否定できない場合があります。

骨折が疑われる状態で初回X線が陰性または判断困難だった場合、ACRでは10〜14日後の再X線、造影なしMRI、造影なしCTを次の画像検査として適切としています。

またNICEでは、舟状骨骨折が疑われる場合、十分な診察のうえでMRIを第一選択の画像検査として検討することを推奨しています。

「レントゲンで異常なしだったから絶対に骨折ではない」というわけではない、という点は覚えておきたいところです。

 

こんなときは医療機関での評価を

転倒して手をついたあと、

痛みや腫れが強い
手首に変形がある
特定の骨の部分を押すと強く痛む
手首を動かしたときの痛みが強い
指のしびれや感覚の異常がある
指先の色や血流に異常が疑われる
症状が続いている

といった場合には、骨折やその他の組織損傷も考えて評価する必要があります。

特に皮膚が破れている骨折、神経・血管障害が疑われる状態などでは、速やかな医療機関での評価が必要です。

捻挫か骨折かは、見た目だけでは判断できません

転倒後の手首の痛みでは、

「腫れているか」
「動かせるか」

だけを見るのではなく、

どのように転んだか
どこが痛いか
どこに圧痛があるか
どの動作で痛むか
腫れや変形はないか
神経・血流に問題がないか

などを総合して確認します。

必要に応じて画像検査を行い、骨折の有無を確認することも重要です。

「動くから大丈夫」と決めつけず、転倒後に手首の痛みが強い場合や、痛みが続く場合には適切な評価を受けましょう。

▶ 手首・手の痛みについて詳しくはこちら

  1. American College of Radiology. ACR Appropriateness Criteria® Acute Hand and Wrist Trauma.
  2. NICE. Fractures (non-complex): assessment and management. NG38.
  3. Patel DS, Statuta SM, Ahmed N. Common Fractures of the Radius and Ulna. Am Fam Physician. 2021;103(6):345-354.
2026年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴ひも、ちゃんと結んでいますか?靴のフィット感と靴ひもの役割

靴を選ぶとき、

「サイズは合っている」
「幅もきつくない」
「つま先にも余裕がある」

そこまで確認していても、意外と見落とされやすいのが靴ひもです。

靴ひもを緩めたまま履いていたり、一度結んだ靴をそのまま脱ぎ履きしたりしていませんか?

靴ひもは、単に靴が脱げないようにするためだけのものではありません。

足と靴をどのようにフィットさせるかを調整する役割もあります。

靴ひもを緩めたままだとどうなる?

健康な成人20人を対象にした研究では、靴ひもの締め方を「快適に締めた状態」「緩めた状態」「完全に緩めた状態」で比較しています。

靴ひもを緩めるにつれて、参加者が感じるかかとの浮きや、靴の中で足が前後に動く感覚が増加しました。また、足底圧の一部にも変化がみられました。

つまり、

靴のサイズが合っていても、靴ひもの状態によって靴の中での足の収まり方は変わる

ということです。

ただし、これだけで「靴ひもが緩いとケガをする」とまでは言えません。

 

強く締めればいいわけでもありません

では、靴ひもはできるだけ強く締めればいいのでしょうか?

これも違います。

ランナーを対象とした研究では、靴ひもの通し方や締め方によって、足の甲にかかる圧力や快適性、安定感が変化することが報告されています。

足の甲が強く圧迫されて、

「痛い」
「しびれる」
「圧迫感が強い」

という状態で無理に履き続ける必要はありません。

重要なのは、

緩すぎず、締めすぎず、足と靴が無理なくフィットしていること

です。

靴を履くときは、かかとの位置も確認

靴ひもを締める前に確認したいのが、足が靴の中にどのように収まっているかです。

靴を履いたら、

① かかとを靴の後方に合わせる
② つま先に無理な圧迫がないか確認する
③ 足の甲に強い圧迫がない程度に靴ひもを調整する
④ 立ってフィット感を確認する
⑤ 実際に少し歩いて確認する

という流れで見ると分かりやすいでしょう。

ここでも「靴ひもを何Nの力で締める」など、一つの基準を全員に当てはめるわけではありません。

足の形、靴の形、使用目的などによって適したフィット感は変わります。

 

スポーツシューズでは特にフィットが重要?

ランニングでは、靴ひもの通し方や締め方によって足底圧、足の動き、足と靴の固定感などが変化することが報告されています。

ただし、

「この結び方なら速く走れる」
「この結び方ならケガを予防できる」

と単純には言えません。

ランニングシューズの構造とバイオメカニクスを調べたシステマティックレビューでも、靴ひもを含む一部のシューズ構造について、明確な科学的指針を作るには研究が不足しているとされています。

スポーツでは競技によって、

走る
止まる
切り返す
ジャンプする

など動作が違います。

そのため、普段履きとスポーツシューズで同じフィット感が最適とは限りません。

「ランナーズループ」をすればいい?

ランニングシューズには、一番上に余っているように見える穴が付いていることがあります。

これを利用して、かかと周囲のフィットを調整する結び方が使われることがあります。

ただし、

全員がこの結び方にすればいいわけではありません。

実験研究では、上部のアイレットまで使用する結び方によって、ランニング時の足と靴の固定感などが変化することが報告されていますが、個人に合わせて調整することが重要です。

通常の結び方で問題なくフィットしている人まで、必ず変更する必要はありません。

靴ひもだけでサイズの問題は解決できません

ここは特に重要です。

例えば、

靴が大きすぎるから靴ひもを強く締める
幅が合っていないのに靴ひもだけで固定する

という使い方では、根本的なサイズや形状の不一致を解決できないことがあります。

不適切なサイズの靴と足部痛・足部障害との関連を報告したレビューもあります。

靴ひもを見る前に、

足長
足幅・足囲
つま先の余裕
かかとの収まり
靴そのものの形

なども合わせて確認する必要があります。

インソールを入れる前にも靴を確認

インソールを使用するときも同じです。

インソールだけを足に合わせれば終わりではありません。

インソールを入れる靴そのものが大きすぎたり、形が足に合っていなかったり、靴ひもが適切に調整されていなかったりすれば、足と靴のフィットは変わります。

以前の記事でも紹介したように、靴の快適性は靴そのものの構造だけでなく、個人差や使用する状況など複数の要因が関係します。

だからこそ、

足 × 靴 × 使用目的

を一緒に考えることが大切です。

靴ひもまで含めて「靴のフィット」

靴選びというと、つい「26.0cm」などのサイズ表示だけに目が向きます。

しかし実際には、

靴のサイズ・形
+
足の形
+
靴ひもの調整
+
使用目的

まで含めてフィットを考える必要があります。

「緩い方が楽」でも、
「強く締めれば安定する」でもありません。

実際に履いて、かかとが大きく浮かないか、足が靴の中で必要以上に動かないか、甲に痛みや強い圧迫感がないかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

  1. Fiedler KE, et al. The effect of shoe lacing on plantar pressure distribution and in-shoe displacement of the foot in healthy participants. Gait Posture. 2011;33(3):396-400.
  2. Hagen M, Hennig EM. Effects of different shoe-lacing patterns on the biomechanics of running shoes. J Sports Sci. 2009;27(3):267-275.
  3. Hagen M, et al. Effects of different shoe-lacing patterns on dorsal pressure distribution during running and perceived comfort. Res Sports Med. 2010;18(3):176-187.
  4. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. J Foot Ankle Res. 2021.
 
 
2026年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

スクワットで膝がつま先より前に出たらダメ?フォームの「常識」を考える

スクワットをするとき、

「膝をつま先より前に出さないで」

と言われたことはありませんか?

トレーニングやリハビリの現場でも、以前からよく聞くフォームの注意点です。

では、本当に膝がつま先より少しでも前に出たら「間違ったスクワット」なのでしょうか?

結論からいうと、

「膝がつま先より前に出る=ダメ」と一律に決めることはできません。

スクワットでは膝だけでなく、足関節・股関節・体幹などが連動して動きます。

そのため、膝だけを見てフォームの良し悪しを判断するのではなく、目的や身体の特徴、症状、負荷などを合わせて考えることが大切です。

なぜ「膝をつま先より前に出すな」と言われるの?

膝が前方へ移動すると、条件によって膝関節にかかる力や膝伸展モーメントが大きくなることがあります。

スクワットでは、膝の屈曲角度が大きくなるにつれて膝蓋大腿関節などにかかる力も変化します。

そのため、

「膝への負荷を減らすために、膝を前に出さない」

という指導につながったと考えられます。

ただし、ここで重要なのが、

身体にかかる負荷は消えるのではなく、フォームによって配分が変わる

という点です。

 

膝を前に出さなければ安全?

2003年の研究では、バーベルスクワットで、

「膝をつま先より前に出せるスクワット」

と、

「板を置いて膝がつま先より前に出ないよう制限したスクワット」

を比較しています。

膝の前方移動を制限すると膝トルクは小さくなりました。

一方で、股関節トルクは大きく増加しました。

つまり、

膝を前に出さない
=身体全体への負荷が小さくなる

とは限りません。

膝への要求を減らそうとして、股関節や体幹をより使うフォームになることがあります。

だからこそ、「膝だけ」を見てフォームを決めるのは難しいのです。

人によって膝の位置が違うのはなぜ?

同じようにスクワットしても、全員がまったく同じフォームにはなりません。

例えば、

  • 大腿骨や下腿の長さ
  • 足関節の動き
  • 股関節の動き
  • スタンス幅
  • 足の向き
  • しゃがむ深さ
  • バーベルなどの負荷
  • スクワットを行う目的

などによって動作は変わります。

スクワット自体が、足関節・膝関節・股関節・体幹を含む複合的な動作です。

そのため、

「つま先から膝が何cm出たらダメ」

という一つの数字ですべての人を判断することはできません。

深くしゃがむと膝に悪い?

これもよく聞かれます。

スクワットでは膝の曲がりが大きくなるにつれて、膝関節にかかる力も変化します。

ただし、

「深くしゃがむ=膝を傷める」

と単純に考えることもできません。

スクワット深度と膝・脊椎への負荷を検討したレビューでは、適切な技術と段階的な負荷設定のもとで行う深いスクワットについて、「深いから危険」とする考えを支持していません。

一方で、膝に症状がある人のリハビリでは、膝の屈曲角度や外部負荷を調整することで、関節への要求を変えることがあります。

つまり、ここでも、

深い=良い
浅い=良い

ではありません。

 

じゃあ、スクワットでは何を見ればいい?

膝がつま先より前に出ているかだけではなく、

① 痛みが出ていないか
② 足裏が安定しているか
③ 足関節・膝・股関節がどう動いているか
④ 体幹を必要以上に倒していないか
⑤ 自分でコントロールできる範囲で動けているか
⑥ 重さや回数が目的に合っているか

などを確認します。

例えば、膝を前に出さないことだけを意識した結果、無理にお尻を後ろへ引き、上体を大きく倒しているのであれば、別の部位への要求が増えている可能性があります。

逆に膝に痛みがある場合などには、症状に合わせて一時的にしゃがむ深さや膝の動きを調整することもあります。

「正しいフォーム」は一つではありません

スクワットには、

自重スクワット
ゴブレットスクワット
フロントスクワット
バックスクワット
リハビリとして行うスクワット

など、さまざまな方法があります。

目的も、

筋力を高めたい
スポーツのためにトレーニングしたい
ケガから復帰したい
日常生活に必要な動きを練習したい

など人によって違います。

そのため、全員に同じフォームを当てはめるのではなく、**「誰が・何のために・どのくらいの負荷で行うのか」**を考える必要があります。

「膝がつま先より前に出たらダメ」だけで判断しない

スクワットで膝がつま先より前に出ること自体を、すぐに「悪いフォーム」と判断する必要はありません。

一方で、

「膝はどれだけ前に出しても問題ない」

という意味でもありません。

膝の位置を変えれば、膝・股関節・体幹などに求められる負荷の配分も変わります。

大切なのは、

膝がつま先より前に出たかどうかだけを見るのではなく、身体全体の動き・症状・負荷・目的を合わせて考えること。

スクワットは「一つの正しい形」に身体を合わせるのではなく、目的や身体の状態に応じてフォームや負荷を調整していきます。

▶ 当院のトレーニングについてはこちら

  1. Fry AC, Smith JC, Schilling BK. Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. J Strength Cond Res. 2003;17(4):629-633.
  2. Escamilla RF. Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Med Sci Sports Exerc. 2001;33(1):127-141.
  3. Hartmann H, Wirth K, Klusemann M. Analysis of the load on the knee joint and vertebral column with changes in squatting depth and weight load. Sports Med. 2013;43(10):993-1008.
  4. Schoenfeld BJ. Squatting kinematics and kinetics and their application to exercise performance. J Strength Cond Res. 2010;24(12):3497-3506.
2026年9月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院