朝起きたら腰が痛い…寝方が悪い?朝の腰痛で考えたいこと

「朝起きたときだけ腰が痛い」

「寝ている間に腰を痛めたのかな?」

「マットレスが合っていない?」

このような経験がある方もいると思います。

朝に腰が痛いと、寝方や寝具が原因だと考えたくなります。

しかし、腰痛にはさまざまな要因が関係するため、

「朝に痛い=寝方が悪い」

と一つの原因に決めることはできません。

朝の腰痛は「寝相」のせい?

寝ている姿勢によって腰の感じ方が変わることはあります。

ただし、

「仰向けは腰に悪い」
「横向きなら腰痛にならない」
「この寝方が正解」

と、すべての人に共通する寝姿勢を決めることは難しいです。

慢性腰痛では睡眠の質の低下や睡眠障害が多く報告されており、睡眠状態の変化と腰痛の変化との関連を示したシステマティックレビューもあります。

さらに2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、睡眠問題がある人では、その後に慢性筋骨格系疼痛がみられるリスクが高い傾向が報告されています。一方で、痛みから睡眠への影響については不確実な部分も残っています。

つまり、腰痛と睡眠は「寝方だけ」の問題として考えない方がよいということです。

 

起きて動くと少し楽になるのは?

「起きた直後は腰が重いけれど、動いているうちに気にならなくなる」

という方もいます。

この場合も、

「筋肉が硬くなったから」
「血流が悪かったから」

など、一つの理由に決めつけないようにします。

重要なのは、朝だけなのか、日中も続くのか、動いたときにどう変化するのか、どのくらいの期間続いているのかなど、症状の経過を確認することです。

朝に腰が気になる場合、強い痛みがなければ、起床後にいきなり大きく腰を曲げたり捻ったりする必要はありません。

まず立つ、歩く、無理のない範囲で身体を動かすなど、その日の状態を確認しながら活動を始めるという考え方でよいでしょう。

慢性一次性腰痛についてWHOも、教育・セルフケアとともに、構造化された運動プログラムなどを選択肢として推奨しています。ただし、「この運動を朝○回やれば腰痛が治る」という意味ではありません。

硬いマットレスほど腰にいい?

これはよく聞く話です。

「腰が悪い人は硬い布団がいい」

と言われることがあります。

しかし、硬ければ硬いほど良いという根拠はありません。

慢性非特異的腰痛があり、寝ているときや起床時に腰痛のある313人を対象としたランダム化比較試験では、「硬いマットレス」と「中程度の硬さのマットレス」を比較しました。

90日後、中程度の硬さのマットレスを使用したグループの方が、ベッド上での痛みや起床時の痛み、機能障害について良好な結果を示しました。

ただし、これは、

「腰痛なら全員medium-firmを買えばいい」

という意味ではありません。

対象は特定の慢性非特異的腰痛患者であり、2003年の一つのRCTです。

体格、普段の寝姿勢、現在使っている寝具、本人の快適性なども違います。

したがって、

「硬いほど腰に良い」
「高価なマットレスなら腰痛が改善する」

とは考えない方がよいでしょう。

マットレスを買い替える前に確認したいこと

朝に腰が痛いからといって、すぐ寝具を買い替える必要があるとは限りません。

まず、

  • いつから症状があるか
  • 朝だけなのか、一日中あるのか
  • 起きて動くとどう変化するか
  • 夜中に痛みで目が覚めるか
  • 最近、運動量や仕事量が変わっていないか
  • 睡眠時間や睡眠の状態はどうか
  • 脚のしびれや力の入りにくさはないか

なども確認してみましょう。

寝具だけを見るのではなく、腰痛の経過や一日の活動、睡眠などを含めて考えることが重要です。

 

「朝にストレッチすればいい」でもありません

朝に身体を動かして楽になる人であれば、軽く動くことが選択肢になる場合があります。

しかし、

「朝腰が痛い人は、このストレッチをすれば大丈夫」

という共通の方法があるわけではありません。

腰を曲げると症状が増える人もいれば、反対に伸ばす動作で症状が気になる人もいます。

そのため、痛みを我慢して大きく伸ばしたり、「硬いから伸ばさなければ」と無理にストレッチしたりする必要はありません。

状態に合わせて運動の種類や負荷を調整します。

朝の腰痛、こんなときは寝具だけの問題と考えない

朝の腰痛が続いている場合には、単に「寝具が合わない」と自己判断しないことも大切です。

特に、

脚のしびれや力の入りにくさがある
排尿・排便の異常など神経症状がある
転倒や外傷後から強く痛む
発熱など全身症状を伴う
痛みが強くなっている、長く続いている

などの場合には、必要に応じて医療機関での評価を受けます。

「正しい寝方」を探し続けなくてもいい

朝の腰痛があると、

「寝方が悪かったのかな」

「もっと硬いマットレスにした方がいいかな」

と考えてしまいます。

しかし、腰痛は寝姿勢や寝具だけで決まるものではありません。

睡眠、日中の活動、運動量、身体の状態など、さまざまな要素を一緒に考えることが大切です。慢性一次性腰痛についても、WHOは一つの治療だけに頼るのではなく、個人の身体的・心理的・社会的要因を考慮した包括的な対応を推奨しています。

「朝腰が痛いから、とりあえずマットレスを買い替える」

その前に、まず現在の症状や生活を一度整理してみましょう。

▶ 腰の痛み・ぎっくり腰・坐骨神経痛についてはこちら

  1. Runge N, et al. The bidirectional relationship between sleep problems and chronic musculoskeletal pain: a systematic review with meta-analysis. Pain. 2024;165(11):2455-2467.
  2. Ho KKN, et al. Are Changes in Sleep Quality/Quantity or Baseline Sleep Parameters Related to Changes in Clinical Outcomes in Patients With Nonspecific Chronic Low Back Pain?: A Systematic Review. Clin J Pain. 2022.
  3. Kovacs FM, et al. Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial. Lancet. 2003;362:1599-1604.
  4. World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
2026年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴は大きめを選んだ方がいい?足に合う靴のサイズと「捨て寸」の考え方

靴を選ぶとき、

「つま先が当たらないように、大きめを選んでいます」

「子どもはすぐ足が大きくなるから、少し大きい靴を買っています」

という方も多いのではないでしょうか。

確かに、靴の中には足の指が動くための余裕が必要です。

しかし、

「大きめの靴=足に合っている」

とは限りません。

靴を選ぶときには、表示されているサイズだけではなく、足の長さ・幅・靴の形・かかとの収まり方などを合わせて確認することが大切です。

足のサイズが25cmなら、25cmの靴でいい?

ここで知っておきたいのが、

「足の長さ」と「靴のサイズ表示」は同じものとは限らない

ということです。

同じサイズ表示でも、メーカーやモデルによって靴内部の長さ・幅・形状は異なります。

また、人の足も長さだけではありません。

足幅や足囲、指の形、左右差などがあります。

そのため、

「いつも26cmだから今回も26cm」

だけで決めると、同じサイズでもフィット感が変わることがあります。

靴のフィッティングについてのレビューでも、足の形には個人差があり、適切なフィットは個別に考える必要性が指摘されています。

「捨て寸」って何?

靴を履いたときに、つま先と靴の先端との間に設ける余裕を一般に「捨て寸」と呼びます。

歩くときには足や指が靴の中で動くため、つま先が靴の先端に強く当たらないためのスペースが必要になります。

ただし、

「捨て寸は必ず○mm」

と、すべての人・すべての靴に共通する数字で決めるのは適切ではありません。

例えば、子どもの靴を調べた研究では5~15mmを適切な長さの余裕として評価したものや、10mmを用いた研究があります。

一方、2025年の小児靴に関するレビューでは、つま先の余裕を含めたフィッティング基準にはばらつきがあり、高品質な研究による統一された基準が不足していることが指摘されています。

ですから、数字だけでなく、

つま先が当たっていないか、指が窮屈ではないか、かかとが大きく浮かないか

などを実際に履いて確認することが重要です。

 

大きすぎる靴なら安心?

では、つま先に余裕があればあるほど良いのでしょうか。

これも違います。

大きすぎる靴では、足と靴の形が合わず、靴の中で足が必要以上に動いたり、かかとの収まりが悪くなったりすることがあります。

つまり、

「小さい靴を避けるために、とりあえず大きいサイズを選ぶ」

のではなく、足全体と靴のフィットを確認する必要があります。

実際、靴のサイズや幅が足に合っていない人は珍しくありません。2018年のレビューでは、対象となった研究で63~72%の人が足の長さまたは幅に適合しない靴を履いており、不適切なフィットと足部痛・胼胝・小趾変形などとの関連が報告されています。

ただし、これは「合わない靴を履けば必ず足のトラブルが起こる」という意味ではありません。

「幅広だから大きいサイズ」は注意

これも靴選びでよくあります。

「横がきついから、0.5cm大きいサイズにした」

という選び方です。

しかし、

足幅の問題を靴の長さだけで解決しようとすると、今度は前後方向が大きくなりすぎる

可能性があります。

足の長さだけではなく、

幅や靴型(ラスト)が自分の足に合っているか

も確認します。

研究でも、靴の長さだけでなく「幅が合っていない」という問題が多く報告されています。

子どもは成長するから、大きめでいい?

子どもの靴では特に注意したいところです。

「すぐ大きくなるから」

と、成長を見越してかなり大きな靴を選びたくなることがあります。

しかし、子どもの靴でも現在の足に適切にフィットしていることを基本に考えます。

8~12歳の子どもを対象に、適合サイズ・1サイズ大きい靴・1サイズ小さい靴を比較した研究では、小さい靴で歩行時の足部運動が一部制限され、適合した靴の方が全体的な快適性も高く評価されました。

また、子どもの靴については「大きすぎればどうなる」「何mmなら最適」といった部分には、まだ十分な質のエビデンスがありません。

そのため、

「成長するから大きめ」ではなく、現在の足に合っているかを確認し、成長に合わせて定期的に見直す

という考え方が現実的です。

 

靴を履いたら、ここを確認

サイズ表記だけではなく、実際に履いて確認しましょう。

例えば、

  • つま先が靴の先端に強く当たっていない
  • 指が押しつぶされるような窮屈さがない
  • 足幅が強く圧迫されていない
  • かかとの収まりが悪くない
  • 歩いたときに足が靴の中で必要以上に動かない
  • 痛みや強い圧迫感がない

といったところを確認します。

「○cmだから合っている」ではなく、実際のフィット感まで確認することがポイントです。

靴の快適性に関するレビューでも、快適性は靴の構造だけではなく、使用目的や個人の解剖学的・生理学的特徴など複数の要因に影響されるとされています。

スポーツシューズも同じ?

基本的な考え方は同じですが、靴に求められる機能は使用目的によって変わります。

普段履き、ランニング、サッカー、バスケットボールなどでは、動き方や靴の構造も違います。

そのため、

普段履きで快適だったサイズやモデルが、そのまま競技用シューズでも最適とは限りません。

サイズ表示だけでなく、

「何をするための靴なのか」

まで含めて選ぶことが大切です。

インソールを考える前に、まず靴を確認

足に違和感があると、

「インソールを入れた方がいいのかな?」

と考えることもあると思います。

しかし、インソールを考える前に確認したいのが靴そのもののフィットです。

靴が足に合っていない状態では、インソールだけを変えても、靴との組み合わせによっては適切に使用できない場合があります。

当院でもインソールだけを見るのではなく、

足 × 靴 × 使用目的

を確認しながら考えています。

「高いインソールを入れれば大丈夫」ではなく、まず自分の足と靴が合っているかを確認してみましょう。

▶ インソールを選ぶ前に知っておきたい「靴との相性」

参考文献:

  1. Buldt AK, Menz HB. Incorrectly fitted footwear, foot pain and foot disorders: a systematic search and narrative review. J Foot Ankle Res. 2018;11:43.
  2. Morrison SC, et al. Guidelines for Recommended Footwear for Healthy Children and Adolescents: A Rapid Scoping Review. 2025.
  3. González-Elena ML, et al. Footwear fit in schoolchildren of southern Spain: a population study. BMC Musculoskelet Disord. 2019.
  4. Arnold JB, et al. Children’s school footwear: The impact of fit on foot function, comfort and jump performance in children aged 8 to 12 years. Gait Posture. 2021.
  5. Matthias EC, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. 2021.
2026年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

足の小指をぶつけた!歩けても骨折している?足趾骨折で確認したいポイント

「家具の角に足の小指をぶつけた」

「かなり腫れたけど歩けるから、骨折ではないと思う」

足の指をぶつけた経験がある方は多いと思います。

足趾の骨折は、指先を強くぶつける、重いものを落とすなどの外傷で起こります。特に第2~5趾の骨折では、強い痛みがあっても歩ける場合があります。

そのため、

「歩ける=骨折していない」

とは判断できません。

足の指をぶつけたら、何を確認する?

まず確認したいのは、痛みだけではありません。

・どこを押すと痛いのか
・腫れや皮下出血があるか
・指の向きや形に左右差がないか
・爪の向きが隣の指と比べて不自然ではないか
・傷や出血がないか
・しびれや感覚の異常がないか

などを確認します。

骨折がずれている場合には、指の変形がみられることがあります。また、爪の向きが隣の指や反対側と異なる場合には、骨折に伴う回旋変形を疑う手掛かりになります。

ただし、腫れや内出血の程度だけで、打撲か骨折かを正確に区別することはできません。

 

歩けるなら骨折ではない?

「骨折したら歩けないはず」

と思われることがあります。

しかし、足の小指などの骨折では、歩行できることがあります。

足首や中足部の外傷では、歩行能力などを利用してX線撮影の必要性を判断するOttawa Ankle/Foot Rulesがあります。

ところが、このルールは足の指そのものを評価するルールではありません。

ACR(米国放射線学会)の画像検査基準でも、Ottawa Rulesが陰性でも、足趾などルールの対象外の部位に外傷が疑われる場合には、X線撮影が適切とされています。

ですから、

「4歩歩けたから骨折ではない」

という使い方はできません。

エコーで骨折は分かる?

超音波画像観察装置(エコー)では、骨の表面や周囲の軟部組織などを観察することができます。

骨表面の連続性に異常が疑われる所見がみられることもあります。

しかし、エコーだけですべての骨折を否定できるわけではありません。

ACRの急性足部外傷に関する基準でも、骨折を疑う場合の標準的な初期画像検査はX線であり、超音波検査は一般的な第一選択とはされていません。

そのため当院でも、エコー所見や触診、受傷状況などから骨折が疑われ、画像診断が必要と考えられる場合には、医療機関での検査をおすすめします。

骨折だったら、どうやって固定する?

第2~5趾の安定した転位のない骨折では、隣の指と一緒に固定するバディテーピングと、硬い靴底の靴などを使用する保存的な管理が一般的です。

ただし、

「小指の骨折=全部バディテーピング」

ではありません。

変形や回旋がある骨折、関節面に及ぶ転位骨折、開放骨折、強い圧挫損傷、神経・血流の異常などでは、専門的な評価が必要になります。

また、親指は歩行時の荷重や蹴り出しに重要なため、第2~5趾とは扱いが異なります。

 

こんな場合は「とりあえず様子を見る」に注意

足の指をぶつけたあと、

指が明らかに曲がっている
爪の向きがおかしい
傷があり骨折が疑われる
しびれや感覚の異常がある
強い圧挫を受けた
痛みや腫れが続いている

といった場合には、自己判断で放置せず、状態を確認することが大切です。開放骨折、回旋変形、神経血管障害などは専門医への紹介が必要となる所見です。

特に子どもでは、爪の周囲の損傷に骨折が伴っている場合もあります。爪が浮いている、爪の付け根から出血しているなどの場合も注意が必要です。

「歩けるか」だけでは判断しない

足の指をぶつけたときに大切なのは、

歩けるかどうかだけで判断しないことです。

打撲でも強く腫れることがありますし、骨折していても歩ける場合があります。

受傷した状況、圧痛の場所、腫れ、皮下出血、指の向き、傷の有無などを合わせて確認し、骨折が疑われる場合には必要に応じて医療機関で画像検査を受けます。

「ただぶつけただけ」と思っていても、痛みや腫れが強い場合や状態が気になる場合には、一度確認しておくとよいでしょう。

▶ 骨折・捻挫などの外傷についてはこちら

  1. Bica D, Sprouse RA, Armen J. Common Foot Fractures. American Family Physician. 2024;109(2):126-133.
  2. American College of Radiology. ACR Appropriateness Criteria: Acute Trauma to the Foot.
  3. Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Toe Fractures – Emergency Department.
2026年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

「筋トレは毎日やった方がいい?筋肉を休ませる意味とトレーニング頻度」

「筋トレは毎日やった方が早く筋肉がつく?」

「スクワットは毎日やってもいい?」

「筋肉痛が残っていてもトレーニングして大丈夫?」

運動やリハビリを始めると、このような疑問を持つ方も多いと思います。

筋力をつけるためには、ある程度継続して筋肉に負荷をかける必要があります。

しかし、

「毎日やればやるほど効果が高くなる」

とは限りません。

トレーニングでは「何日やったか」だけではなく、負荷・回数・セット数・週間の運動量・目的・回復状態などを合わせて考えることが大切です。

筋トレは週に何回やればいい?

実は、「週○回が絶対に正解」と単純には決められません。

2026年に発表されたメタ回帰分析では、筋力や筋肥大への効果にはトレーニング頻度だけでなく、1週間に行うセット数などのトレーニング量が関係することが示されています。

過去のメタ解析でも、1週間のトレーニング量を同程度にすると、頻度を増やしただけでは筋肥大に大きな差がみられないことが報告されています。

筋力についても同様で、頻度が高い群ほど筋力向上が大きい傾向はみられるものの、トレーニング量をそろえた研究では頻度そのものによる明確な差は確認されませんでした。

つまり、

「週何回か」だけを見るより、「1週間でどのくらいのトレーニングを行っているか」まで考える必要があります。

 

じゃあ毎日筋トレしてもいい?

ここも「毎日はダメ」とは言い切れません。

例えば、

月曜日:下半身
火曜日:上半身
水曜日:軽い運動

のように負荷を分ける方法もあります。

同じ部位でも、毎回同じ強度・同じ量で行うとは限りません。

そのため、

「毎日筋トレ=やりすぎ」

とは一概に言えません。

反対に、同じ筋肉へ高い負荷をかけるトレーニングを毎日繰り返す必要があるとも言えません。

2026年のACSM Position Standでも、筋力・筋肥大・パワーなど、目的によって負荷やトレーニング量を変える考え方が示されています。

「筋肉は48時間休ませる」は絶対?

「筋トレをしたら48~72時間休ませる」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

これは分かりやすい目安として使われることがありますが、

すべての人・すべての運動に共通する絶対的なルールではありません。

回復に必要な時間は、

・トレーニングの強度
・セット数や総運動量
・運動経験
・鍛えた部位
・年齢
・睡眠や栄養などの状態

などによって変わります。

「48時間経ったから必ず回復している」「48時間経っていないから絶対に運動してはいけない」と時間だけで判断しない方がよいでしょう。

筋肉痛があれば、筋トレは成功?

これもよくある誤解です。

筋トレの翌日に筋肉痛があると、

「昨日は効いた!」

と思うことがあります。

しかし、

筋肉痛の強さ=トレーニング効果の大きさ

と単純に考えることはできません。

また、筋肉痛を起こすこと自体をトレーニングの目的にする必要もありません。

トレーニングでは、

「どれだけ痛くなったか」

ではなく、

以前より扱える負荷が変わったか、回数が増えたか、動作が安定したか

なども確認していきます。

毎回限界までやった方がいい?

筋肉をつけたいなら、

「毎セット、もう1回もできなくなるまで追い込まないと意味がない」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、これも必須ではありません。

筋肥大について調べたシステマティックレビュー・メタ解析では、完全に動作できなくなるまで行うトレーニングが、そうでないトレーニングより明確に優れているとは確認されませんでした。

つまり、

「毎回限界まで追い込む=必ず効果が高い」

ではありません。

トレーニング経験や目的に応じて、負荷や回数を調整することが重要です。

 

 

 

リハビリの運動も休んだ方がいい?

ここは筋力トレーニングと分けて考える必要があります。

リハビリでは、

・関節を動かす運動
・軽い筋収縮
・バランストレーニング
・高負荷の筋力トレーニング
・ジャンプや切り返し

など、目的も身体への負荷も大きく異なります。

そのため、

「筋トレは○日休むから、リハビリも同じ」

とは限りません。

反対に、

「リハビリだから毎日たくさんやればいい」

とも限りません。

ケガの種類、回復段階、運動内容、運動後の反応などを確認しながら頻度を決める必要があります。

大切なのは「毎日やること」より「続けられること」

2026年のACSM Position Standが強調しているポイントの一つが、複雑で完璧なプログラムを追求するより、継続してレジスタンストレーニングを行うことの重要性です。

筋トレでは、

毎日やらなければ意味がない

と考える必要はありません。

逆に、

週1回なら意味がない

とも言えません。

目的や現在の体力に合わせて負荷と量を設定し、身体の反応を確認しながら続けていくことが大切です。

特に運動を始めたばかりの方は、最初から頻度や負荷を上げすぎるより、無理なく継続できるところから始めてみましょう。


▶ 運動・トレーニングについてはこちら

ここは、HPにある**「トレーニング」ページへ内部リンク**でいいです。

参考文献

  1. American College of Sports Medicine. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2026.
  2. Pelland JC, et al. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Med. 2026;56:481-505.
  3. Schoenfeld BJ, Grgic J, Krieger J. How many times per week should a muscle be trained to maximize muscle hypertrophy? J Sports Sci. 2019;37:1286-1295.
  4. Grgic J, et al. Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2018;48:1207-1220.
  5. Refalo MC, et al. Influence of Resistance Training Proximity-to-Failure on Skeletal Muscle Hypertrophy: A Systematic Review with Meta-analysis. Sports Med. 2023;53:649-665.
2026年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

肩が痛いときは動かさない方がいい?「安静」と「運動」の考え方

肩が痛くなると、

「なるべく動かさない方がいいのかな?」
「運動すると悪化する?」
「痛くても動かした方がいい?」

と迷うことがあります。

肩の痛みにはさまざまな原因があるため、すべてを同じように扱うことはできません。

ただし、成人のローテーターカフ(腱板)に関連する肩の痛みでは、現在のガイドラインは単に安静にするだけではなく、状態に合わせた活動調整と運動を重要な選択肢として位置づけています。

今回は、肩が痛いときの「休ませる」と「動かす」をどう考えればよいのか紹介します。

肩が痛い=動かしてはいけない?

必ずしもそうではありません。

痛みが強く出る動作を何度も繰り返したり、急に大きな負荷をかけたりすることは避ける必要があります。

一方で、

「痛みがあるから、できるだけ肩を使わない」

と一律に考える必要もありません。

2025年の臨床ガイドラインでは、ローテーターカフ腱障害に対する初期治療として、患者ごとの状態に合わせた教育、活動量の調整、自己管理に加えて、運動療法が推奨されています。

大切なのは、

「動かすか、動かさないか」の二択ではなく、現在の状態に合わせて負荷を調整することです。

 

そもそもローテーターカフ(腱板)とは?

肩の周囲には、

・棘上筋
・棘下筋
・小円筋
・肩甲下筋

という4つの筋肉があります。

これらの腱が肩関節の周囲を取り囲むように存在し、ローテーターカフ(腱板)と呼ばれます。

腕を上げたり回したりするときだけでなく、肩関節を安定させながら動かすためにも関わっています。

ただし、肩が痛いからといって、必ず腱板に問題があるとは限りません。

肩関節周囲炎、関節の問題、外傷など、肩の痛みにはさまざまな状態が含まれます。

どんな運動をすればいいの?

ここも「この運動をすれば大丈夫」と一律には決められません。

2025年のガイドラインでは、モーターコントロール運動や抵抗運動などを含む、積極的な運動プログラムが推奨されています。

一方、2024年のシステマティックレビューでは、モーターコントロール運動は一般的な運動と比べて機能障害をわずかに改善する可能性がありますが、特定の運動方法や「高負荷の方が優れている」といった点については、まだ不確実性が残っています。

つまり、

「肩甲骨の運動だけ」
「インナーマッスルだけ」
「重い負荷をかければいい」

と決めつけるのではなく、その人の動きや症状、必要な活動に合わせて調整することが重要です。

痛みがある運動は全部ダメ?

これも単純ではありません。

どの程度の症状まで許容するかは、その人の状態や運動内容によって変わります。

そのため、

「痛くても我慢してやる」

という考え方も、

「少しでも痛ければ絶対に動かさない」

という考え方も、一律には勧められません。

運動中だけではなく、運動後に症状が大きく悪化していないか、日常生活への影響が増えていないかなども含めて負荷を調整していきます。

 

マッサージだけではダメなの?

肩が痛いと、揉んだりほぐしたりしてほしいと考える方も多いと思います。

徒手療法については、2025年のガイドラインでも、短期的な痛みの軽減を目的として運動などと組み合わせる選択肢にはなっています。

しかし、ローテーターカフ腱障害では運動が非手術的な管理の中心的な要素として位置づけられています。

そのため、

「ほぐして終わり」ではなく、その後に肩をどのように使えるようにしていくか

まで考えることが大切です。

こんな肩の痛みは一度確認を

肩の痛みのすべてが運動で対応できるわけではありません。

特に、

・転倒や衝突など、明らかなケガのあとから強く痛む
・腕を上げることが難しい
・明らかな筋力低下がある
・しびれなど神経症状を伴う
・症状が続き、改善傾向がみられない

といった場合には、状態を確認することが重要です。

必要に応じて医療機関で画像検査などを検討する場合もあります。

「安静」か「運動」かではなく、負荷を調整する

肩が痛いときに大切なのは、

「とにかく安静」でも「痛くても運動」でもありません。

痛みが出る動作や負荷を確認しながら、必要に応じて活動量を調整し、徐々に肩を使える状態を目指します。

肩の状態や必要な動作は、仕事・家事・スポーツなどによっても異なります。

そのため、自分の状態に合わせて進めることが重要です。

▶ 肩の痛み・五十肩・野球肩・肩関節脱臼についてはこちら

参考文献

  1. Desmeules F, et al. Rotator Cuff Tendinopathy Diagnosis, Nonsurgical Medical Care, and Rehabilitation: A Clinical Practice Guideline. J Orthop Sports Phys Ther. 2025;55(4):235-274.
  2. Powell JK, et al. The Efficacy of Exercise Therapy for Rotator Cuff–Related Shoulder Pain According to the FITT Principle: A Systematic Review With Meta-analyses. J Orthop Sports Phys Ther. 2024;54(8):499-512.
2026年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

「物を持つと肘の外側が痛い…これってテニス肘?日常生活でも起こる外側の肘の痛み」

「テニスをしていないのに、テニス肘になるの?」

肘の外側に痛みがある方から、よく聞かれる疑問です。

テニス肘は一般的な呼び方で、医学的には「外側上顆炎」や、近年では腱の状態を考慮して「外側肘腱障害(lateral elbow tendinopathy)」などと呼ばれます。

名前に「テニス」と付いていますが、テニスをする人だけに起こるものではありません。

物を持つ、握る、手首を使うといった日常動作で、肘の外側に痛みを感じることがあります。2022年の臨床ガイドラインでも、外側肘腱障害では握る動作などによって症状が誘発されることが特徴として扱われています。

どんなときに痛みやすい?

例えば、

・ペットボトルやフライパンを持つ
・買い物袋を持つ
・タオルを絞る
・ドアノブを回す
・パソコン作業をする
・ラケットや道具を握る

などです。

肘が痛いのに「手首?」と思うかもしれません。

肘の外側には、手首や指を動かす筋肉につながる腱があります。そのため、手首を反らしたり物を握ったりする動作でも、この部分に負荷が加わります。

 

「使いすぎ」が原因なの?

ここは少し注意が必要です。

「パソコンを使いすぎたから」
「物を持ちすぎたから」

と、一つの動作だけを原因と決めつけることはできません。

仕事上の負荷について調べたシステマティックレビューでは、手首・前腕への複数の生体力学的負荷が組み合わさることと外側肘腱障害との関連を示す研究がある一方、エビデンスには限界があります。別のレビューでは、特に前腕の回旋や複合的な負荷との関連が示されています。

つまり、

「この動作をしたからテニス肘になった」

と単純には言えません。

仕事内容、スポーツ、負荷の強さや頻度、身体の状態などを合わせて考える必要があります。

痛いならずっと安静にした方がいい?

痛みが強い時期に、痛みを繰り返し誘発する動作をそのまま続けるのは適切とは限りません。

一方で、

「痛いから一切使わない」

という考え方も一律ではありません。

2022年の外側肘痛に関する臨床ガイドラインでは、抵抗運動などを含む段階的な運動療法が治療選択肢として推奨されています。

重要なのは、

負担をゼロにすることではなく、状態を確認しながら負荷を調整すること。

日常生活や仕事を完全に止めるのが難しい場合には、痛みが出やすい動作や負荷量を確認しながら調整していきます。

サポーターを付ければ治る?

肘のサポーターを使っている方もいます。

前腕に装着する装具について調べたシステマティックレビューでは、装着直後の痛みや痛みなく握れる力について一定の効果が示されていますが、エビデンスの確実性は低いとされています。

そのため、

「サポーターを付ければ治る」

というものではありません。

仕事やスポーツを続ける際の負荷調整の一つとして使用を検討することはありますが、それだけに頼らないことも大切です。

 

肘の外側が痛ければ全部テニス肘?

これも違います。

肘の外側に痛みが出る原因は一つではありません。

そのため、

「外側が痛い=テニス肘」

と自己判断するのではなく、痛みの場所、どの動作で痛むのか、関節の動き、筋力などを確認することが重要です。

症状が強い場合や長く続く場合、外傷後から痛みがある場合、しびれや明らかな筋力低下などを伴う場合には、医療機関への相談も検討してください。

テニスをしていなくても肘の外側は痛くなります

「テニス肘」という名前からスポーツ障害と思われがちですが、日常生活や仕事で肘の外側に痛みを感じる方もいます。

大切なのは、

痛いところだけを見るのではなく、「何をすると痛むのか」「どのくらいの負荷がかかっているのか」を確認することです。

必要に応じて負荷を調整しながら、段階的に身体を使える状態を目指していきます。

▶ テニス肘など「肘の痛み」について詳しくはこちら

参考文献は以下です。

  1. Lucado AM, et al. Lateral Elbow Pain and Muscle Function Impairments: Clinical Practice Guidelines. J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(12):CPG1-CPG111.
  2. Curti S, et al. Elbow tendinopathy and occupational biomechanical overload: A systematic review with best-evidence synthesis. J Occup Health. 2021;63:e12186.
  3. Kean CO, et al. Evaluating the immediate effect of forearm and wrist orthoses on pain and function in individuals with lateral elbow tendinopathy: A systematic review. Musculoskelet Sci Pract. 2020;47:102147.
  4. Campos MGM, et al. Effectiveness of non-invasive therapies on pain, maximum grip strength, disability, and quality of life for lateral elbow tendinopathy: A systematic review and meta-analysis. Braz J Phys Ther. 2024;28:100596.
2026年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

足首の捻挫、痛みが減ったら終わり?再発を防ぐために確認したいこと

足首の捻挫は、スポーツでよくみられるケガのひとつです。

腫れや痛みが落ち着いてくると、

「もう走っても大丈夫かな?」
「痛くなければ治ったということ?」
「部活に戻っていい?」

と思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、足首の捻挫からスポーツへ戻るときは、痛みだけを基準に判断するのは十分ではありません。

国際的な専門家によるコンセンサスでは、スポーツ復帰を考える際には、痛みだけでなく、足首の動きや筋力、バランス能力、本人の安心感、ジャンプや切り返しなどのスポーツ動作まで確認することが提案されています。

「痛くない=元通り」とは限りません

足首を捻挫すると、靱帯などの組織だけでなく、その後の足首の動きや筋力、バランス能力などに問題が残ることがあります。

日常生活で歩けるようになったとしても、

「片足で安定して立てるか」
「ジャンプして着地できるか」
「素早く方向転換できるか」

となると、まだ左右差を感じることがあります。

そのため、日常生活に戻れる状態と、スポーツに戻れる状態は同じではありません。

 

スポーツ復帰では何を確認する?

足関節捻挫後のスポーツ復帰について、国際的な専門家によって提案されたのが「PAASS」という考え方です。

確認する項目は大きく5つあります。

① Pain:痛み

スポーツ中の痛みだけでなく、その後や翌日まで含めて状態を確認します。

② Ankle impairments:足首の機能

関節の動く範囲、筋力、持久力、パワーなどを確認します。

③ Athlete perception:本人の感覚

「また捻りそうで怖い」「足首が不安定な感じがする」といった本人の感覚も重要な評価項目です。

④ Sensorimotor control:バランス・感覚

片足でのバランスや、動きながら身体をコントロールできるかなどを確認します。

⑤ Sport/functional performance:スポーツ動作

ジャンプ、着地、切り返し、競技特有の動きなどを確認し、最終的には通常の練習を行えるかをみていきます。

重要なのは、「受傷から○週間経ったから復帰」という時間だけの判断ではないことです。

なお、PAASSは「何点以上なら必ず復帰できる」という基準ではありません。何を確認すべきかを整理したフレームワークです。

リハビリは痛みを取るためだけではありません

「もう痛くないからリハビリは必要ない」

と思うかもしれません。

しかし、急性足関節捻挫後の運動療法を調べたシステマティックレビュー・メタ解析では、運動を取り入れたリハビリテーションは通常ケアと比較して、12か月時点の再受傷を減らす方向の結果が報告されています。

一方で、どの運動を何回・何週間行えば最適なのかまでは、現在の研究から一律には決められません。

そのため、状態に合わせて、

足首を動かす
→ 筋力を戻す
→ バランス能力を確認する
→ ジャンプ・着地
→ 切り返し
→ 競技動作

と段階的に負荷を上げていくことが基本になります。

 

サポーターをしていれば大丈夫?

サポーターやテーピングも選択肢のひとつですが、それだけですべてを補えるわけではありません。

アスリートを対象としたシステマティックレビュー・メタ解析では、ブレースとバランストレーニングのどちらも足関節捻挫の発生リスクを低下させたと報告されています。

つまり、

「サポーターかリハビリか」ではなく、必要に応じて組み合わせて考える

という方が実際的です。

競技、過去の捻挫歴、足首の状態などによっても判断は変わります。

一度捻挫した足だからこそ、その後が大切です

足首の捻挫は、腫れや痛みが減ると「治った」と感じやすいケガです。

しかし、スポーツ復帰では、

痛み・可動域・筋力・バランス・本人の安心感・実際のスポーツ動作

などを総合して確認することが大切です。

「歩けるから大丈夫」から、いきなり全力の練習に戻すのではなく、段階を踏んで競技動作へ戻していきましょう。

池上7丁目整骨院では、足関節捻挫などのスポーツ外傷について、ケガをした直後だけでなく、スポーツ復帰までの状態確認や運動についてもご相談いただけます。

「スポーツ障害・スポーツ外傷」

参考文献

  1. Smith MD, et al. Return to sport decisions after an acute lateral ankle sprain injury: introducing the PAASS framework—an international multidisciplinary consensus. Br J Sports Med. 2021;55:1270-1276.
  2. Wagemans J, et al. Exercise-based rehabilitation reduces reinjury following acute lateral ankle sprain: A systematic review update with meta-analysis. PLoS One. 2022.
  3. Bleakley CM, et al. Rehabilitation Exercises Reduce Reinjury Post Ankle Sprain, But the Content and Parameters of an Optimal Exercise Program Have Yet to Be Established: A Systematic Review and Meta-analysis. Arch Phys Med Rehabil. 2019;100:1367-1375.
  4. Bellows R, Wong CK. The Effect of Bracing and Balance Training on Ankle Sprain Incidence Among Athletes: A Systematic Review With Meta-analysis. Int J Sports Phys Ther. 2018;13:379-388.
2026年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

靴底の減り方で歩き方はわかる?外側だけ減る・左右で違うときに考えたいこと

普段履いている靴の「靴底」をじっくり見たことはありますか?

「かかとの外側だけ減っている」
「右と左で減り方が違う」
「いつも同じところに穴が開く」

こうした靴底の減り方を見て、

「歩き方が悪いのかな?」
「身体が歪んでいる?」
「インソールを入れた方がいい?」

と気になる方もいると思います。

靴底は普段の歩行や使用状況について考える一つの材料になります。

しかし、靴底の減り方だけで歩き方や身体の状態を判断することはできません。

今回は、靴底を見るときに知っておきたいポイントについて紹介します。

どうして靴底は減るの?

歩くときには、靴と地面との間にさまざまな力が加わります。

身体を支える力だけではなく、前後・左右方向への力や、靴と地面との摩擦なども生じています。

実際の研究でも、歩行時に生じる「せん断力」や必要摩擦係数と、靴底の摩耗速度との関連が報告されています。

つまり、普段どのように靴を使っているかによって、靴底の減り方に違いが出る可能性があります。

ただし、それだけで決まるわけではありません。

靴底の素材や形状、使用する路面などによっても摩耗は変わります。研究でも、路面の粗さや靴の素材などが結果に影響する可能性が指摘されています。

かかとの外側が減っていたら歩き方が悪い?

ここは特に誤解されやすいところです。

靴のかかとの外側が減っているのを見て、

「外側が減っている=歩き方が悪い」

と考える必要はありません。

歩行では、かかとから接地するときに外側寄りから接地することもあります。

そのため、かかとの外側に摩耗があるという情報だけで、異常な歩き方や特定の足の状態と判断することはできません。

「外側が減っているから○○足」

「内側が減っているから扁平足」

と靴底だけを見て決めるのも避けた方がよいでしょう。

 

左右で減り方が違う場合は?

左右差もよく相談されます。

人間の身体は完全な左右対称ではありません。

また、靴の使い方、スポーツ、仕事、歩く場所などによっても左右の摩耗に違いが出ることがあります。

そのため、

左右差がある=身体が歪んでいる

とも限りません。

一方で、左右で極端に摩耗する場所が違う場合や、いつも片方だけ極端に早く減る場合には、靴だけではなく実際の立ち方や歩き方なども一緒に確認すると、参考になることがあります。

靴底だけでは歩き方を判断できません

ここが今回一番伝えたいところです。

靴底には歩行によって生じた力が反映される可能性がありますが、単純な歩行速度や歩幅などと摩耗率との間には明確な関連が確認されなかった研究もあります。

つまり、

「この減り方だから、この歩き方をしている」

と一対一で結びつけることはできません。

足について考えるのであれば、

・足の形
・関節の動き
・立ったときの足の状態
・実際の歩き方
・使用している靴
・靴のサイズやフィット
・スポーツや仕事などの使用環境

などを合わせて確認することが大切です。

 

すり減った靴をそのまま履き続けてもいい?

靴底の「減り方」だけでなく、どのくらい減っているかにも注意が必要です。

特に靴底の溝が大きく摩耗すると、靴と床との摩擦性能が低下する可能性があります。

靴底の摩耗と滑りについて調べた研究では、アウトソールの摩耗によって摩擦が低下し、滑りや転倒リスクに影響する可能性が報告されています。

また、靴はアウトソールだけでなく、使用を続けることでミッドソールなども変化していきます。

見た目だけで交換時期を一律に決めることは難しいですが、

「靴底の溝がかなりなくなっている」
「片側だけ大きく変形している」
「以前より安定しにくい」
「靴の中で足が動く」

などがあれば、一度靴の状態を確認してみてもよいでしょう。

インソールを入れれば解決する?

ここも大切です。

靴底が偏って減っているからといって、必ずインソールが必要というわけではありません。

まず確認したいのは、現在履いている靴そのものです。

サイズが合っていなかったり、靴が大きく変形していたり、用途に合っていなかったりすれば、インソールだけを変更しても適切とは限りません。

逆に、足の状態や使用目的によっては、インソールを選択肢の一つとして考える場合もあります。

大切なのは、

「足」だけでも「靴」だけでも「インソール」だけでもなく、組み合わせて考えることです。

池上7丁目整骨院でも、インソールについてご相談いただいた場合には、足だけではなく実際に使用する靴や使用目的なども確認しています。

→ インソール・Formthoticsについてはこちら

ときどき靴底を見てみましょう

毎日履いている靴は、意外と自分では見ていないものです。

一度、左右の靴を並べて靴底を確認してみてください。

大切なのは、

「外側が減っているから悪い」
「左右差があるから身体が歪んでいる」

と決めつけないことです。

靴底の摩耗は、足や歩行について考える一つの情報にはなりますが、それだけですべてが分かるわけではありません。

気になる減り方がある場合には、靴だけを見るのではなく、足の状態や実際の動きも含めて確認していくことが大切です。

参考文献

  1. Hemler SL, Sider JR, Redfern MS, Beschorner KE. Gait kinetics impact shoe tread wear rate. Gait Posture. 2021;86:157-161.
  2. Griffin SC, Hemler SL, Beschorner KE. Investigating the Influence of Spatiotemporal Gait Characteristics on Shoe Wear Rate. IISE Trans Occup Ergon Hum Factors. 2022;10(1):1-6.
  3. Menz HB, Bonanno DR. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. J Foot Ankle Res. 2021;14:63.
2026年8月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

ストレッチは長くやるほどいい?運動前・運動後で変えたいストレッチの考え方

運動やスポーツの前後にストレッチをしている方は多いと思います。

「運動前はしっかり伸ばした方がいい」
「ストレッチをすればケガを予防できる」
「身体が硬いから長く伸ばした方がいい」

このように考えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、ストレッチは長くやればやるほど良いわけではありません。

また、「これからスポーツをする」のか「柔軟性を高めたい」のかによっても、適した方法は変わります。

今回は、運動前・運動後のストレッチについて、現在の研究をもとに整理してみます。

ストレッチには種類があります

まず知っておきたいのが、ストレッチはすべて同じではないということです。

代表的なのが「静的ストレッチ」と「動的ストレッチ」です。

静的ストレッチは、筋肉を伸ばした姿勢で一定時間保持する方法です。

例えば、立った状態で前屈して太ももの裏を伸ばしたり、ふくらはぎを伸ばした状態をキープしたりする方法です。

一方の動的ストレッチは、身体を動かしながら関節や筋肉を動かしていく方法です。

脚を前後に振る、股関節を動かす、腕を回すなど、これから行う運動に近い動きを取り入れることもあります。

 

運動前に静的ストレッチをしてはいけない?

「運動前の静的ストレッチは筋力が落ちるからダメ」

と聞いたことがある方もいるかもしれません。

これは少し単純化されています。

過去の研究では、運動直前に一つの筋肉を長時間静的に伸ばすと、直後の筋力や瞬発的なパフォーマンスが一時的に低下する可能性が示されています。特に長時間の静的ストレッチほど影響が出やすい傾向があります。

一方、2026年に発表されたレビューでは、60秒以下の短時間のストレッチでは、パフォーマンスへの影響はごく小さいという結果が示されています。

そのため、

「運動前は静的ストレッチ禁止」

と考える必要はありません。

ただ、これからダッシュ・ジャンプ・切り返しなどを行うのであれば、静的ストレッチだけでウォーミングアップを終わらせるより、身体を動かしながら準備していく方が実際の運動につなげやすいでしょう。

運動前は「動きながら準備する」

スポーツ前には、

軽いジョギング
↓
関節を動かす
↓
動的ストレッチ
↓
競技に近い動き
↓
徐々にスピードを上げる

というように、身体を段階的に運動へ近づけていく方法があります。

動的ストレッチについては、直後の柔軟性を小さいながら高めることが示されており、スプリントやジャンプなどのパフォーマンスにも適したウォームアップ方法の一つと考えられています。

ここで大切なのは、

「ストレッチをしたから準備完了」ではない

ということです。

実際の競技で走るのであれば走る準備を、ジャンプするのであればジャンプする準備を段階的に行うことも重要です。

身体を柔らかくしたいなら静的ストレッチは意味がある?

あります。

静的ストレッチそのものが悪いわけではありません。

継続的なストレッチによって関節可動域(ROM)が向上することは、複数の研究で確認されています。2023年のメタ解析でも、継続的なストレッチによって可動域が増加し、特に静的ストレッチやPNFストレッチで改善が認められています。

さらに2025年の大規模なシステマティックレビュー・メタ解析では、189研究・6,654人を解析し、静的ストレッチによって短期的にも長期的にも柔軟性が向上することが示されています。

つまり、

運動前のウォームアップ

と

柔軟性を高めるためのストレッチ

は、目的を分けて考えた方が分かりやすいのです。

運動後のストレッチは?

運動後にゆっくりストレッチすること自体を否定する必要はありません。

運動後に身体を落ち着かせたり、柔軟性を目的として静的ストレッチを取り入れたりすることはできます。

ただし、

「運動後にストレッチをすればケガを防げる」

とまでは言えません。

ストレッチ単独によるスポーツ外傷予防については、研究では明確な予防効果が確認されていません。複数のRCTをまとめたメタ解析でも、ストレッチ単独ではスポーツ外傷の発生率を有意に減らしませんでした。

したがって、ストレッチだけにケガ予防を任せるのではなく、筋力やバランス、競技に必要な動作、練習量なども含めて考える必要があります。

 

「身体が硬い=ケガをする」とも限りません

これもよくある誤解です。

柔軟性は身体機能の一つですが、

柔らかければ柔らかいほどケガをしない

という単純な関係ではありません。

スポーツによって必要な可動域も異なります。

大切なのは、競技や日常生活で必要な範囲を動かせて、その範囲で身体をコントロールできることです。

そのため、ストレッチだけではなく、筋力トレーニングやバランストレーニング、競技動作なども含めて考えていく必要があります。

ストレッチは「目的」で使い分けましょう

ストレッチは、

「とりあえず長く伸ばせばいい」

というものではありません。

運動前なら、身体を動かしながらこれから行うスポーツへ準備していく。

柔軟性を高めたいなら、静的ストレッチを継続的に取り入れる。

そしてケガの予防を考えるなら、ストレッチだけではなく筋力やバランス、ウォーミングアップ、運動量なども含めて考える。

このように、目的に合わせて使い分けることが大切です。

池上7丁目整骨院では、スポーツや日常生活での身体の状態を確認しながら、運動やセルフケアについてもお伝えしています。

「どこをストレッチすればいいのか分からない」
「運動前は何をしたらいい?」
「身体が硬いのが気になる」

といった場合もご相談ください。

→ スポーツ障害・スポーツ外傷についてはこちら

ここに既存ページへの内部リンクを入れます。

参考文献

  1. Takeuchi K, et al. Optimising the Dose of Static Stretching to Improve Flexibility: A Systematic Review, Meta-analysis and Multivariate Meta-regression. Sports Med. 2025.
  2. Behm DG, et al. Effect of acute static stretch on maximal muscle performance: a systematic review. Scand J Med Sci Sports. 2013;23:131–148.
  3. Albrecht K, et al. How long should athletes with high range of motion demands stretch? Acute stretching durations for flexibility and performance: a systematic review. 2026.
  4. Warneke K, et al. Chronic effects of stretching on range of motion with consideration of potential moderating variables: a systematic review with meta-analysis. J Sport Health Sci. 2024;13:186–194.
  5. Lauersen JB, et al. The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Br J Sports Med. 2014;48:871–877
2026年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院

肉離れは揉んでもいい?ストレッチはいつから?受傷直後に気をつけたいこと

スポーツ中に急に太ももやふくらはぎが痛くなり、

「肉離れかもしれない」

と思った経験はありませんか?

肉離れをしたときによく聞かれるのが、

「硬くならないように揉んだ方がいい?」
「ストレッチで伸ばした方がいい?」
「痛みが減ったら運動していい?」

という質問です。

肉離れは、ただ安静にしていればよいわけでも、早くから強く揉んだり伸ばしたりすればよいわけでもありません。

今回は、肉離れを疑ったときに気をつけたいことと、スポーツ復帰までの考え方について紹介します。

肉離れとは?

肉離れは、ダッシュやジャンプ、急な切り返しなどによって筋肉に大きな力が加わったときに起こる筋損傷の一つです。

スポーツでは特に、

・太ももの裏(ハムストリングス)
・ふくらはぎ
・太ももの前

などにみられます。

損傷の程度はさまざまで、軽い痛みだけの場合もあれば、歩くのが難しくなったり、腫れや皮下出血が出たりすることもあります。

また、「歩けるから軽い」とは限りません。

どの筋肉の、どの部分を傷めているのかによって、その後のリハビリやスポーツ復帰の進め方も変わります。

 

肉離れをした直後に揉んでもいい?

痛みが強い部分を、自己判断で強く揉むことはおすすめしません。

「硬くなっているからほぐした方がいい」と考えてしまいがちですが、受傷直後は筋肉が損傷している可能性があります。

特に腫れや皮下出血、強い圧痛がある場合には、無理に刺激を加えない方がよいでしょう。

一方で、

「肉離れをしたら、痛みが完全になくなるまで一切動かさない」

という考え方も現在のリハビリの考え方とは少し異なります。

ハムストリング損傷に関する国際コンセンサスでは、初期には損傷部への大きな伸張負荷や急激な負荷を避けながら、その後は症状や筋力、負荷に対する反応などを確認して段階的に運動を進めることが重視されています。

ストレッチはいつから?

ここで大切なのは、

「受傷から○日経ったからストレッチを始める」

と日数だけで決めないことです。

肉離れといっても、損傷した場所や程度は同じではありません。

実際、国際コンセンサスでも、ハムストリング損傷後の柔軟性トレーニングをいつ開始するかについて明確な合意は得られていません。

そのため、

「3日経ったから伸ばそう」

ではなく、

その時点でどのくらい動かせるのか、痛みはどう変化しているのか、どの程度の負荷に耐えられるのか

を確認しながら進めることが重要です。

痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。

痛みが少しでもあったら運動してはいけない?

これも「痛みがある=運動禁止」と単純には決められません。

急性ハムストリング損傷を対象にした研究では、痛みを出さない範囲でリハビリを行ったグループと、一定の痛みを許容しながら行ったグループを比較しても、スポーツ復帰までの期間に明確な差はありませんでした。

ただし、

「痛くても我慢して運動していい」

という意味ではありません。

どの運動で痛むのか、運動後に症状が悪化しないか、筋力が戻っているかなどを確認しながら負荷を調整します。

特に全力に近いスプリントについては、国際コンセンサスでは痛みなく走れることを重視する意見が支持されています。

肉離れのリハビリは「ストレッチだけ」ではありません

肉離れというと、

「筋肉が硬くなったから伸ばさないと」

と思われることがあります。

しかし、スポーツ復帰を考えるなら、柔軟性だけでは十分ではありません。

状態に応じて、

筋力トレーニング
↓
筋肉を伸ばされた状態でも力を発揮する練習
↓
ジョギング
↓
ランニング
↓
スプリント
↓
切り返しやジャンプなどの競技動作

といったように、実際のスポーツで必要になる負荷へ段階的に近づけていくことが重要です。

特にハムストリング損傷では、ランニングやスプリントそのものもリハビリの重要な要素と考えられています。

また、「筋肉を伸ばしながら力を出す運動は早く始めれば始めるほどよい」というわけでもありません。

MRIで確認された急性ハムストリング損傷を対象に、こうした運動を早期から開始した場合と、ランニング能力が戻ってから開始した場合を比較したRCTでは、スポーツ復帰までの期間や再受傷率に明確な差は認められませんでした。

 

痛みがなくなったらスポーツ復帰していい?

痛みがなくなったことは、スポーツ復帰を考えるうえで大切な要素の一つです。

しかし、

「痛くない=元通り」

とは限りません。

筋力が十分に戻っているか、走れるか、スピードを上げられるか、競技特有の動きに対応できるかなども確認する必要があります。

2023年に発表されたハムストリング損傷に関する国際コンセンサスでも、単純な経過日数ではなく、症状・筋力・ランニング能力・競技で必要とされる能力などを総合して復帰を判断する考え方が示されています。

こんな症状がある場合は状態を確認しましょう

肉離れだと思っていても、筋肉だけの問題とは限りません。

・歩くのが難しい
・腫れや皮下出血が強い
・力が入りにくい
・筋肉にへこみや明らかな左右差を感じる
・痛みが強い
・症状がなかなか改善傾向を示さない
・ケガを繰り返している

このような場合には、無理に運動を続けず、状態を確認することをおすすめします。

肉離れは「休むだけ」でも「伸ばすだけ」でもありません

肉離れをすると、

「とにかく安静」
「とにかくストレッチ」
「硬いから揉む」

となりがちですが、大切なのは損傷の状態に合わせて負荷を戻していくことです。

特にスポーツ復帰を目指す場合には、痛みだけではなく、筋力やランニング、競技動作まで段階的に確認していく必要があります。

池上7丁目整骨院では、スポーツによるケガについて、状態を確認しながら運動や競技復帰までの進め方を考えていきます。

「肉離れかもしれない」
「いつから走っていいのか分からない」
「ストレッチしていいのか分からない」

という場合はご相談ください。

→ 「スポーツ障害・スポーツ外傷」についてはこちら

参考文献

  1. Paton BM, et al. London International Consensus and Delphi study on hamstring injuries part 3: rehabilitation, running and return to sport. Br J Sports Med. 2023;57:278-291.
  2. Hickey JT, et al. Pain-Free Versus Pain-Threshold Rehabilitation Following Acute Hamstring Strain Injury: A Randomized Controlled Trial. J Orthop Sports Phys Ther. 2020;50(2):91-103.
  3. Vermeulen R, et al. Early versus delayed lengthening exercises for acute hamstring injury in male athletes: a randomised controlled clinical trial. Br J Sports Med. 2022;56(14):792-800.
2026年8月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 池上7丁目整骨院